「釈明会見」で森喜朗氏に詰め寄った記者が、マスコミの「五輪報道」を見て感じたこと

TBSラジオの澤田大樹記者は、ツイッターでトレンド入りしたことがある。今年2月、森喜朗氏が「女性蔑視発言」の釈明会見をした際に、怒る森氏に怯まず質問をぶつけ続けた姿勢が注目を浴びたのだ。

その澤田記者が自身のこれまでの経験を振り返りながら報道について考えた『ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける』(亜紀書房)を発表。ここでは、澤田記者が五輪報道から見えたことについてレポートする。

忘れられた東京五輪

2021年7月23日、東京2020オリンピックが開会した。この日、東京都の新型コロナウイルス感染症新規感染者数は、1359人。その後も新規感染者数が日々増加していった。

オリンピック開会の数日前まで、この感染状況でのオリンピック開催は、新聞やテレビなど大手メディアも、新型コロナの感染拡大につながるのではないかと懸念を示していたが、オリンピックが開幕すると一転、開会式の演出や日本のメダル獲得数、メダリストへのインタビューと従来のオリンピック報道が目立った。

東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中に新たに確認された新型コロナ感染症の感染者数は全国で17万人を超えた。医療体制は圧迫され、多くの患者が自宅待機を余儀なくされていたにもかかわらず、東京オリンピック・パラリンピックの報道に押されるように、国内メディアのコロナ感染症の報道は確実に減った。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

東京オリンピック閉会後のJNNの世論調査によれば、東京オリンピックを開催してよかった、どちらかといえば開催してよかったと答えた人は61%に及ぶ。しかし調査では同時に、東京オリンピックが新型コロナ感染症の拡大につながったと思うと60%の人が答えている。

この調査で見えてくるのは、新型コロナ感染症の深刻な状況とパラレルワールドのような東京オリンピック・パラリンピックの報道に、混乱する人々の姿だったのではないだろうか。そして、一連の東京オリンピック・パラリンピックの報道により、メディアに対する信頼性は大きく揺らいだと私は感じる。

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