2021.12.02
# 元素 # 分子

身近なのに謎だらけ!? 水の不思議を探る!

モノとモノをつなげる力2
ブルーバックス編集部 プロフィール

水の謎 3 異常に高い沸点

液体の温度を上げていくと、しだいに液体中の分子の運動が激しくなり、ある程度運動が激しくなると、液体の表面ではその分子の動きを抑えることができなくなり、分子は液体表面から飛び出します。液体中のすべての分子がこのような状態になる温度を沸点と言います。

その際、重い分子と軽い分子を比べると、重い分子のほうが鈍重なので、より温度を高くしないと気体になりにくいことは想像できます。

分子の重さ(分子量)は、分子の中にふくまれる、原子の種類と数で決まります。いくつかの物質の分子量と沸点を比べてみると、

化合物/組成式/分子量/沸点の順に、

  • メタン/CH4/16/-164度
  • モノシラン/SiH4/32/-112度
  • モノゲルマン/GeH4/77/-88度
  • スタナン/SnH4/123/-52度

となります。

【表】分子量と沸点化合物の分子量と沸点の例 写真:gettyimages

予想どおり、分子の重さが重くなるほど、沸点は高くなります。

水の分子量は18なので、上の表にしたがえば、-150度くらいでもおかしくはありませんが、じっさいには、

  • 水/H2O/18/100度

となります。

こうやって比べると、水の沸点100度が、いかに異常なのかがわかると思います。

水の沸点が高いということは、気温の高い環境でも水の液体状態が変化しないことを意味します。この水の性質は、気候変動によりかなり大気の温度が上がっても生命活動が維持でき、地球上の温度変化に対して安定して生命活動を制御する上で有利です。

その秘密は、またもや電子による水素結合にあります。水中での水分子は、図のように、まわりの水分子とたくさんの数の静電相互作用をしています。水中でこのように複数の水分子が集合していることは、実験でも確かめられています。

つまり、水分子は水分子同士の水素結合によって3次元的に集合してかたまりになり、実際の分子量よりもはるかに大きな分子としてはたらいているのです。水分子同士ががっちりとスクラムを組んでいるので100度まで温度を上げないと沸騰しないのです。

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