2021.12.02
# 分子 # 元素

身近なのに謎だらけ!? 水の不思議を探る!

モノとモノをつなげる力2

水は私たちの最も身近にある液体であり分子です。水は私たちの生活を支え、生命活動の元になっている、非常に重要な物質です。じつは、この慣れ親しんでいる水は、物理化学的に見ると、他の類似の分子とは非常に異なった特性をもっています。

水について科学的にはまだ完全に理解できていないと言ったら、すぐに信じない人も多いかもしれません。しかし、今でもはっきり分かっていないことが結構あります。水のようなありふれた物質に潜む謎に光を当てて、その解明を試みることも重要な科学研究の1つです。

それでは、あたりまえだけど実は不思議な水の謎を見ていきましょう。

水の謎1 氷=固体の密度が水=液体の密度より小さいのはなぜか?

固体においては通常、原子や分子が化学結合によって整然と並び、原子間または分子間の距離も近くなり、密度が高くなります。なので、たとえばエタノールの固体は液体のエタノールに入れると沈んでしまいます。固体のほうが液体の状態よりも密度が高いためです。

しかし、水はご存じのとおり、氷は水に浮いてしまいます。それは、経験上誰もが知っている当たり前の事実ですが、液体と固体の関係からすると、決して当たり前ではありません。では、いったいなぜ、氷は水にうくのでしょうか?

それは、氷の場合、水分子が水素結合によって結びついていることに理由があります。水分子同士が水素結合によって規則的にならんだ結晶構造をとると、図のように「隙間の多い」構造になるためです。水分子の折れ曲がった形と結びつきに方向性がある水素結合の性質によって、水は氷=固体になると膨張して密度が低くなる、きわめて珍しい性質をしめすのです。

【写真】氷は隙間の多い構造水分子が水素結合によって結びついた氷の場合、「隙間の多い」構造になる 構造式の拡大表示はこちら 写真:gettyimages、構造式:『暗記しないで化学入門 新訂版』

氷は水より軽いので、寒くなり海、湖そして河川が凍っても、底の水までは凍ることは少なく、魚などの生物は寒い冬(あるいは氷河期)を生き抜くことができます。生命を育む上で、水のこの性質がいかに大切かが分かります。

水素結合とは?

水分子は、じつは図のような立体構造をしています。O原子がちょうど4面体の中心にあり、4面体の頂点に2つのH原子と2つの非共有電子対があります。

O原子の電気陰性度(電子を引き寄せる力)はH原子よりもずっと高いので、電子はO原子のほうに引っ張られ、H原子はプラス(δ+)の電荷を持つようになっています。非共有電子対はもちろんマイナスの電荷を持っています。

【図】水分子の立体構造(上)と、水の分子の水素結合水分子の立体構造(上)と、水の分子の水素結合  図:『暗記しないで化学入門 新訂版』

つまり、例えば2つの水分子が近づくと、片方の水分子の1つのH原子(プラス)ともう一方の水分子の非共有電子対(マイナス)が引きつけ合います。この引き付け合う力は、プラスの電荷を帯びたH原子を仲立ちにするので、水素結合と呼ばれています。水素結合はよく破線で表現されます。この水素結合により、O原子同士は強い力で縛られます(結合します)。

水の謎2 氷に圧力をくわえると、溶けて水になる。

ふつうの物質は、液体に高い圧力をかけると固体になります。たとえば、酸素も高い圧力のもとでは固体になります。しかし、氷の場合は圧力をかけると、逆に溶けて液体になってしまいます。だからアイススケートで、あのようになめらかに滑ることができるのです。

これも、氷は水分子が水素結合でむすびついた、隙間の多い構造になっているためです。圧力をかけると、水素結合が切れてバラバラになってしまいます。つまり、液体になるということです。

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