日本の隠れた傑作航空機・US-2を世界の海で活躍させよう

インド太平洋にこそふさわしい飛行艇
ロバート・D・エルドリッヂ プロフィール

さまざまな用途

US-2の主な任務は、墜落した自衛隊機の乗員の捜索・救助であるが、他にもたくさんの用途を有する。まずは遭難した船舶・ボート、海上での漂流者(難破船、取り残された海水浴客、サーファー、ボート乗り、津波被災者など)の捜索・救助だ。さらに、不審船舶等の偵察も可能である。

多用途性が高く、滑走路にも着陸できることから、人や物資の輸送などの任務にも対応している。実際、その任務は、非戦闘員の避難(NEO)、空中給油活動、通信やデータリンクを提供する空飛ぶ司令塔としての役割などに拡大していくであろう。

特装車や空港で飛行機に乗る旅客搭乗橋などで社名を見かける新明和工業は、民間の消防用のUS-2機体の製造も目指している。世界中の購入希望者から注目されているこのモデルは、燃料タンクの1つを15トンの水タンクに変更することとしている。

機体が水面(海、湖、ダム、貯水池)を数秒で滑走すると、真水はもちろん、塩水、泡、防火剤にも対応できる耐久性を持つ水タンクが満たされる。この量は、2011年3月に東京電力福島第1原発の3号機の原子炉冷却のため、上空からの放水任務をしていた陸上自衛隊の大型輸送ヘリCH-47がバケツですくった最大容量の約2倍、消防庁の小型ヘリコプターのバケツの約25倍に当たる。

燃料タンクの代わりに水タンクを搭載したことで、最大航続距離は半分の2300km程度になるが、消火現場に到着してからは、そのような長距離の飛行は必要ない場合がほとんどだ。いずれにしても、重要なことに、既にもっている航続距離の能力のお陰で、森林火災などの災害時に日本から要請国へ派遣することができる。

 

もし要請があったならば、2020年に発生したオーストラリアの山火事でも活躍していた可能性があり、その航続距離と能力を示すだけでなく、重要な国際貢献にもなっていただろう。また、前述の1号機、2号機は、消防仕様にも改修可能だ。

関連記事