加害者にも相談窓口を。当事者だからこその想い

DVは、被害者やその子どもを大きく傷つけ、加害者を含む関係者の一生を大きく変えてしまう。DVによって家族が崩壊しそうになった時、加害者への対応はどうあるべきなのか。DVをやめさせることはできるのだろうか。

子どもを愛していた池田さんにとって、子どもに思うように会えない現状は耐え難い。人の内面をもっと深く知りたい、心理学も学んでいきたいと考えている。今も立ち直りの真っ只中にいる中で思うのは、「DVは絶対に間違っている。でも『加害者は絶対に変わらない、変わろうともしない』と決めつけてしまうのも間違いなのではないかと思うようになった」ということだ。

「なぜなら自分もそうでしたが、親密な関係だからこそ、自分の思い通りになってほしいと相手に望むことはよくあるからです。その結果、激しい暴力はなくても、相手を正そうとしたり、精神的に追い込むといったことをしてしまう、という関係性はよくあると思うんです。

現状では、主に女性のDV被害者用のシェルターや相談ダイヤルなどが主な支援となっていますが、まだまだ支援の手が足りていないと思います。同時に、DV加害者が相談でき、カウンセリングなどにたどり着ける場所も必要だと感じています。私がそうだったように、誰にとっても生きづらさや苦しさがあって、それに対して何もしないことが、さらなるDVを産むことにつながってしまう。

DV加害者の多くは私と同じく男性で、男性用の相談先が用意されていないということは、裏を返せば、社会の中に『成人男性は相談を必要としていない』、または『相談先は必要ない』『他人に相談するなんて、弱い人がするものだと』という、思い込みがあるからではないかと思うのです」

DVは、当事者間での話し合いだけでは解決にはなかなかいたらない。
「私はとても後悔しています。私のような思いを繰り返さないためにも、別れると決める前に、第三者の助けを借りることが大切だと思います。そして、当事者が自分のDV的思考に気づいて、それに陥らないように訓練を積むしかありません。そのためにも、まずは悩みを打ち明け、心を開くことができる場所や相談できる先を作ることが、新たなDV被害を受ける方を減らすことにつながると思うのです。それは同時に、子どもを両親間の暴力や争いから救うことにもなると信じています」

「DV加害者を助けるなんて」という批判の声もあるかもしれない。被害者を守ることがもちろん第一優先であるべきだと思う。でも、それと合わせて、加害者が二度と加害者にならないようにすることも重要だ。さらにいえば、加害者となりうる人たちが支えられて、加害行為に及ばないような環境も大切だ。

加害者側がDVをやめていくには、気づくことができる場が必要なのだ。「誰かとつながること」が、この世で生きづらさを抱えているすべての人に必要な支援になるのは確かだ。

被害者も加害者も助けを求め、相談できる環境を作ることDV撲滅には必要だ。photo/iStock