「妻との連絡はNG」でも送った言い訳メール

新婚当初から元妻へ繰り返された池田さんの暴力は、不機嫌になる、無視する、ものを投げる・壊す、顔に唾を吐くというものだった。最終的には、肩を強く押す、蹴るという身体的暴力に至った。子どもの前での面前DVもあった。別居する前に妻から「あなたはDVをしている。加害者プログラムを受けてほしい」と言われたが、反発した。池田さんの気持ちが変わったのは、妻子が出ていってから数週間が過ぎた頃だった。

「すぐに戻るだろうと思っていたら、一向に戻ってこない。これはまずいとようやく気づいて、週に1度のDV加害者プログラムに通い始めました。ただし、最初のころは、別居という事実や、離婚になるかもしれないという恐怖に向き合うので精一杯。自分が変わりたいというよりも、元妻に戻ってきてほしい一心でした。

妻から、『直接、連絡を取らないでほしい。弁護士を介してほしい』と言われていました。けれど、最初の頃は自分を抑えきれず、言い訳めいた思いを伝えたりして、何度もメールを送ってしまいました。その後、妻からDV加害者プログラム主催者に連絡が入ったようで、『やめてください』と言われました。今思えば、妻にさらなる恐怖心を与えてしまい、本当に申し訳なかったと思います」と、池田さんは打ち明ける。

妻とコンタクトしてはいけないというのに、送ってしまったメール……。photo/iStock

DV加害者プログラムとは、一般的に加害者の不健全な価値観や思考を変えていくための教育プログラムのことだ。受講したプログラムは、週1回2時間のグループワーク。1時間は、夫婦間のDVの事例が書かれたプリントを読んで、背景にある夫や妻の気持ち、子どもへの影響などを学んでいき、感じたことを話し合う。もう1時間は、前週の振り返りとして1週間をどう過ごしていたかを、他の受講者の前で話す時間に充てられた。そのほか、個人で予約を取りカウンセリングを受ける機会もあった。

プログラムを受講してどう変わったか聞くと、池田さんは「すごく大きいのは、初対面の人にも、普段の自分の状態で自分の経験を話せるようになったこと。以前なら、動悸やめまいがして、クラクラするような状態になっていたと思います」と答えた。