暴力的な態度でしか気持ちを伝えられなかった

コロナ禍で注目が集まった、家庭内暴力(DV)。内閣府の男女共同参画局の令和3年度公表の調査(※1)によれば、女性のおよそ10人に1人が、配偶者(事実婚や別居中の夫婦、元配偶者の相手も含む)などからくり返し暴力を受けている

暴力によって、被害者やその子どもには、心に深い傷が残り心身の健康障害が引き起こされることもある。「加害者を絶対に許せない」「DV加害者は更生するはずがない」といった厳しい言葉が向けられるのは当然のことだろう。一方で、被害者が逃げるだけの対策には限界があり、DVを防ぐには加害者への対応こそ重要という指摘もある。

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DV当事者は、そうした声をどう感じているのだろうか。引き続き、DV離婚の経験がある池田光一(39歳・仮名)さんに、加害者としての想いを聞いていく。第3回目の最終回は、DV加害者プログラムの実際や、DVはどうしたらやめられるのか、DVをなくすには何が必要かについて聞いた。

「相手に何かをして欲しいと思うとき、私は暴力的な振る舞いでしか気持ちを伝えられない人間だったと思います。その後、自分の加害性に気づけたことで、穏やかな気持ちで人と接することができるようになりました。元妻に会って謝りたい、でももう遅いのです」

池田さんは、父親になり子育てをすることが夢だったこともあり、最初はなかなか離婚に応じられなかった。その後何度目かの協議を経て離婚。結婚生活は約10年間。家族3人で暮らしていた家に今は1人で暮らし、後悔と反省の日々を送っている。子どもとの面会は月に1度。妻とは離婚以来、ほとんど言葉を交わすことはない。

※1:身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫及び性的強要のいずれかの被害経験についての調査(内閣府「男女間における暴力に関する調査」令和2年度)

池田さんはひとり、過去との自分と向き合っている。photo/iStock

※文中にはDVの具体的なシーンが出てきます。DV被害に遭われた方やフラッシュバックの可能性がある方はお気をつけください。