警視庁組対4課元管理官の「マル暴刑事」が明かす暴力団捜査秘史

櫻井裕一氏 インタビュー

平成の「ヤクザ事件裏面史」

「マル暴」と呼ばれる刑事たちがいる。

暴力団を担当、日常、暴力団構成員と付き合い、時に威圧、放つオーラは強烈で、ヤクザより恐い雰囲気を持つから、逆に国民にとっては「頼りになる存在」だ。

ただ、「マル暴」と付き合いのある一般庶民は、ほとんどいないだろう。関西系暴力団組事務所のガサ入れで、「開けんかい! コラ!」と、「マル暴」がドアを激しく叩く映像を報道で見て驚き、ヤクザ映画でその迫力を知る程度だ。

その「マル暴」を、警視庁で40年近く担当、退官時には、東京の治安維持に努めた功績で、「警視総監特別賞(短刀)」を受賞した櫻井裕一氏が、平成の「ヤクザ事件裏面史」といって差し支えない本を上梓した。

その名も『マル暴 警視庁暴力団担当刑事』(小学館新書)である。

 

82年12月、自ら望み、25歳で警視庁赤羽署刑事課の暴力犯係に配属され、いかついダブルのスーツ、クロコダイルのセカンドバックにベルト、髪にパンチパーマをあて、ファッションからデビューした櫻井氏の警察官人生は、ヤクザとともにあった。

広域暴力団・住吉会系組織の矢野治組長を最終ターゲットに追い詰める「日本医科大学病院ICU射殺事件」を始め、明かされるのは仰天の捜査秘史だが、被疑者の心を開かせ、自供させ、事件を解決に導くのは、地道な捜査で得た物証と、相手の心情を思いやり、心を開かせる人間力だった。

暴対法や暴排条例もない時代から、ヤクザとある意味で共存してきた櫻井氏は、暴力団構成員が激減する環境のなか、変わる暴力団社会とそれでも変わらない反社会的勢力の世界を知る人でもある。

本書は、「個別事件の裏」を暴力団と「マル暴」の攻防のなかで知る格好の読み物であると同時に、シノギを含めたヤクザの変遷史としても読める。櫻井氏に「マル暴」であったことの誇りと「捜査秘史」を通じて訴えたかったことを聞いた。

(※本稿は『マル暴 警視庁暴力団担当刑事』(小学館新書)の内容に触れる部分があります)

関連記事

おすすめの記事