2021.12.05
# ジェンダー

「同性婚は認めない」という日本の法律に、マイノリティが苦しむ「根本的な理由」

橘みつ「Kanさんと再会する」1
橘 みつ プロフィール

「そういえば、実際のところどうやって婚姻が完了するんですか?」

日本のように、役所に何か提出するイメージも浮かばないけれど。聞くと、ちょっと面白いエピソードが出てきた。

「結婚のセレモニー自体が、証人の前で書類にサインすることとセットになってて。ビザの関係でなんとしても9月に”結婚”しなきゃいけなかったけど、その頃はまだ日本から誰も呼べない状況だから、僕としては可能ならセレモニーを後回しにしたいって言ったの。

でも、書類と式を分けられる文化じゃないらしく、Tomには意味が伝わらなかったみたい。もう一回結婚式をするってこと?って言ってた(笑)」

挙式でのKanさん(左)とパートナーのTomさん(Photo by Visuals of Scotland)

コロナ禍に国をまたいで結ばれた二人ならではの出来事だ。KanさんのInstagram で当日の様子を見ていたが、イギリスの風景と二人らしさが合わさった本当に美しい式だった。日本ではまだ奇異の目を向けられる同性間の関係だが、どんな偏見やトゲも消してしまえそうな、純粋無垢な幸せがそこには詰まっていた。

Tomさんとのことを話すKanさんは、他の話題のときにも増して素敵な顔で笑う。相手が大切でたまらないという、一番シンプルな気持ちが現れた表情だ。

こちらも聞いていて自然に笑顔が出てしまう、裏の無い話し方。そんな受け答えを見ながら、「ここ最近は特に、誰かの裏側にある気持ちを読み取ろうとしてしまっていたなぁ」と、心の中で自分を見つめてしまう。

石が投げ込まれれば波紋が広がり、風が吹いたらさざ波が立って、覗き込めば自分が映る。Kanさんってまるで湖みたいだ。前回と違って知り合いへのインタビューだからか、こんな風にときどき思考が勝手に旅出ってしまう。

***

モニター越しで再会した橘さんとKanさんの話は、このあと「自分にスポットライトを当てる生き方」や「ネットの誹謗中傷に思うこと」などにつながっていきます。その詳細は後編の「同性婚したKanさんに「家族ってなんですか?」と聞いたら、意外な答えがかえってきた」でお伝えします。

橘みつ著『レズ風俗で働くわたしが、他人の人生に本気でぶつかってきた話』

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