2021.12.05
# ジェンダー

「同性婚は認めない」という日本の法律に、マイノリティが苦しむ「根本的な理由」

橘みつ「Kanさんと再会する」1
橘 みつ プロフィール

わたしがICUでセクシュアリティについて学ぼうと決めた理由に似ていて、共感した。自分が何に困っているのかって、自分が一番わかるはずだと思われがちだ。周りから説明責任を問われるし、だからこそ、自分でも説明できないものにぶち当たったときの不安感はとてつもない。

そんなとき、大学の講義や文献が自分のつらさを説明してくれたのは、とても救われた気持ちになったものだ。

 

学部修了後、イギリスの大学院へと進学したKanさんは、そこで現在のパートナーTomさんに出会ったらしい。修士課程を修めると、働くことに積極的な興味も期待もないまま、日本の化粧品会社に入社した。会社選びの基準は、「自分らしくいられて、傷つかない環境かどうか」

「それでも日本にある会社だし、本っ当に何の期待もせず入ったんだけど、干渉する嫌な関係性とか全然ない、”みんなそれぞれだよね”って感じで。つき合ってる人いるの? みたいな話題さえ無いし。すごく居心地がよかった!」

所属していたチームの雰囲気の良さを、Kanさんは嬉しそうに語る。「へぇえ、のびのび働ける環境が日本の企業にもあるなんて!」と相槌を打ちながら、「あぁ、でもこの人はそんなに気に入った職場を手放さざるを得なかったんだよな…」と、胸の奥がチクリとした。

イギリスの婚姻事情

素晴らしい職場を諦めてでもイギリスへ渡ることにしたのは、コロナ禍による「旅行者」の入国制限が主な理由だったという。

そもそも平時であっても、海外で一定期間を過ごすには目的に応じたビザ申請が必要となる。たとえばその国に家族がいるというのは、大きな入国理由になることがほとんどで、ビザも下りやすい。

定住するなら尚更、「家族」と扱われることが重要なのは言うまでもない。では、Kanさんに会いに来るTomさんはというと、日本は同性間の法的なパートナー関係を認めていないので、いつまでも「家族」とは認識されず「旅行者」の枠から脱せないことになる。そういった事情で、彼らはこの一年半ほど会えないまま過ごしてきた。

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