食を取り巻く状況は、日々目まぐるしく変わっています。40年ほど前のアメリカでは見向きもされなかった寿司や刺身が、セレブのステータスになり、近年ではさんまの人気が台湾、中国などで高まり、爆漁の報道も目にします。健康志向とともに世界で魚の需要が高まる一方で、「2048年には、海の中に食べられる魚は一匹もいなくなってしまう」という恐るべき提言も。

今年のさんまの初水揚げは、昨年より1か月以上も遅く、漁獲量も過去最低の昨年を下回った。Photo by iStock

ではそんなときに私たちには何ができるのか。海に囲まれた国に住む日本人として、今知っておきたい問題と、今日から始められる解決の方法があるといいます。未利用魚利用を推進する野本良平さんにお話を聞きました。

-AD-

「未利用魚」って知っていますか?

22日千葉県の銚子漁港で、今年初のサンマが水揚げがあった。過去20年で最も遅かった昨年より1ヵ月以上も遅く、漁獲量も過去最低の昨年よりさらに減ったという(2021年11月23日朝日新聞デジタル)。今年6月にも、「サンマ、鮭、イカの不漁の原因は地球温暖化」という報道があったが、この根拠となる水産庁による「不漁問題に関する検討会のとりまとめ」を読むと、原因は温暖化だけに留まらない。

15年前に、アメリカの科学専門誌『サイエンス』が、「2048年には、海の中に食べられる魚は一匹もいなくなってしまう」という衝撃的な発表を出した以後も、状況はほとんど変わっていない。

2006年アメリカの科学雑誌「Science」は、今の状態が続けば「2048年には海から食用魚がいなくなる」と発表した。Photo by iStock

次世代の子供たちにも魚を残すために

豊洲や築地市場を介さず、全国の漁師や漁港と直接取引をしている「羽田市場」の 代表取締役社長 CEO 野本 良平さんいわく、それは、「未利用魚の利用」だという。

水産庁で講義をしているかと思えば、海上で漁師に神経締めのやり方を教える野本さんは、海のプロだ 写真提供 野本良平

未利用魚とは特定の魚種ではなく、その名の通り、「利用されていない、食べられずに捨てられている魚」を指し、その量は水揚げされた魚の3~4割を占める。水産庁によると令和2年の漁業・養殖業の生産量が417万5,000トンだから、1年でおよそ167万トンの魚が、網にかかりながら、捨てられている計算だ。が、漁業者によっては、港まで持ち帰らずに、海上で廃棄してしまうことも少なくないため、実際はもっと多いのではないかとも言われている。こんなに多くの魚が、なぜ捨てられているのか。また、廃棄するのがわかっていながら、なぜ獲り続けるのだろう。

前述の野本さんはいう。

「未利用魚って、美味しくない魚とか、食べられない魚だと誤解されることもあるんですが、まったく違います。一言でいうと、「流通にのせられない」魚です。なぜそんなにも未利用魚が多いかというと、日本が世界一、海洋資源に恵まれた国だからです」