彼女はたまたま都心に住んでいたから、休日でも緊急避妊薬を処方してくれる病院にスムーズにアクセスできたが、もし近くにそうした病院がない人や金銭的な余裕がない人だったら、あるいは10代の学生だったら、さらに追いつめられたことだろう。

また、もし彼女がコンドームを外されたことに気づかないままでいたら、人工妊娠中絶をせざるを得ない状況に陥っていたかもしれない。そうすればさらに精神的・肉体的・金銭的な負担を強いられることになる(編集部注:初期の中絶手術の場合、10〜20万円が相場と言われている)。ステルシングの被害者は、必ずしも被害に気づけるとは限らない。その意味で、ステルシングは時限爆弾のような質の悪さもあるのだ。

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立ち直るために必要だった「大きな変化」

ちなみに僕の場合は、少し変わった方法で性感染症の恐怖から開放されることとなった。

売り専を辞めた後に大がかりな整形手術を受けたのだが、全身麻酔による施術だったので事前に血液検査を受けることになり、その際に性感染症の疑いが晴れたのだ。ただ、「検査の結果、病気が見つかった場合は別途10万円いただきます」と言われていたため、直前まで気が気ではなかった。

この整形手術は、僕にステルシングから立ち直るきっかけもくれた。手術自体は以前から計画していたものだが、顔を変えたことが「過去を脱ぎ捨てる」ことにつながり、新たなセルフイメージ作りの手助けとなったのだ。

〔PHOTO〕iStock