同意した上での性行為であり、特に抵抗もなくスムーズに進めていたのに、最後の最後でコンドームを外されただけでここまで心がえぐられるのかと、自分で自分に驚いたほどだった。

性暴力はその字面から、肉体的に痛めつける行為を連想しやすいかもしれないが、肉体的な痛みを伴わなくとも、人の心は一瞬で激しく傷つけられることがあるのだ。

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性感染症への不安から体重が激減

その後、怒りや自責の念にはなんとか折り合いをつけられても、自分が性感染症にかかっていたらどうしようという不安は消えずにくすぶり続け、それが死への恐怖になるまでにそう時間はかからなかった。

不安を解消したいならすぐにでも病院で検査をすれば良かったと今なら思うし、セックスワーカーならそれが当然だというお叱りを受けるかもしれない。全くその通りではあるのだが、性暴力を受けたことに対し、何か行動を起こすこと自体が精神的に本当にしんどかったのだ。そうしたセルフケアが自分の受けた仕打ちを再確認する行為になる場合もあるし、もし検査を受けて何か異変があったら立ち直れないのではないかという不安もあった。

〔PHOTO〕iStock

だからこそ、まるで何事もなかったかのように振る舞っていたのだが、心にかかった負荷は体にも影響をもたらす。僕の場合、それは食欲不振というかたちで表れ、170センチの身長でありながら体重が50キロ近くまで落ち、ほどなくして売り専を辞めた。