米・カリフォルニア州で「ステルシング」が性的暴行と位置づけられ、法律で禁止されることになったというニュースを目にしたのは、つい先日のことだ。「ステルシング」とは、性行為中に相手の同意なくコンドームを外すことを指す

ステルシングに関する法案を提出したカリフォルニア州議会のクリスティナ・ガルシア議員〔PHOTO〕Getty Images

この言葉を初めて目にした人もいるだろう。僕もその言葉を知ったのは去年だった。そして、その行為が「暴力」なのだときちんと把握したのも、この数年以内のことだ。そのとき初めて、僕は自分が受けた行為の恐ろしさについて認識することができた。

今回、ステルシングという性暴力について書くにあたり、ゲイである僕がかつて風俗店に勤めていたときに実際に遭った被害をここに記すことにした。性的な行為を職業とし、妊娠の恐れのない僕のような男性にとっても、ステルシングがどれほどの暴力性をもつか伝えたかったからだ。

今は冷静な気持ちで伝えられるが、ここに至るまでにはある程度の月日と、さまざまな心理的なプロセスが必要だったことを念押ししておきたい。中には、こうした体験と現在進行形で向き合い続けている方もいると思う。性暴力の描写を目にすることで具合が悪くなる可能性がある方は、この先を読む際はどうかご注意いただきたい。

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紳士的な男性が行ったまさかの行為

10年ほど前、まだ20代前半だった頃、僕はゲイとバイセクシュアル男性向けの風俗店(通称・売り専)で働いていた。性暴力について語る上で必要な記述ではないので、働くようになった経緯などはここには書かないが、売り専で僕は“被挿入”が可能なキャスト(接客をする人)だった。

ある日、紳士的で優しい雰囲気のお客さんが僕を指名してくれた。彼は挿入を希望していたので、そのつもりで接客をし、特に不快に感じることもないままプレイを進めていたのだが、途中で、彼がコンドームを外していたことに気がついた。最初に彼が着けたのは見ていたが、僕が背中を向ける姿勢になった瞬間に外されていたようだった。