保育園で「いじめ」にあった保育士の女性、園長が彼女に放った「信じられないひと言」

深刻さを増す「大人のいじめ」
坂倉 昇平 プロフィール

これだけだと、単に職場でいじめられているという事実しかわからない。

ところが、この相談メールに記載されていた基本情報に目をやると、職場のイメージが立体的なものになる。正社員なのに、基本給はどう見ても最低賃金ギリギリ。残業代は月数千円が固定で払われているが、毎月の残業時間はかなり長く、未払い残業の常態化が見て取れる。職員の数も非常に少ない。劣悪な待遇にもかかわらず仕事の負担は大きく、充満した不満がいじめというかたちで噴出している様子が浮かび上がってくる。

残念ながら、この相談者からは、これ以上の詳しい話を聞くことはできなかった。いじめ被害の実態を必死の思いで伝えて、しかしその後の連絡が途絶えてしまう相談者は実に多い。本章では、膨大な相談の中から、職場の様子などいじめを取り巻く情報が比較的はっきりと把握できた事例を多数紹介していく。

ケア労働の最前線で、どのようないじめが蔓延しているのだろうか。保育や介護の現場で、何が起こっているのだろうか。

 

保育園のいじめ事例

ケース1 同僚のからかいがいじめの引き金に

Aさんは、社会福祉法人が経営する、園児数が100人を超える認可保育園で1年更新のパートタイム保育士として働いていた。これまで、自身の子育て期間を挟んで10年以上保育士として経験を重ねてきた。

Aさんは、同僚からいじめを受けていた。発端は、同じ非常勤保育士のBさんの行為だった。Bさんは、Aさんの名前をもじって、小学生のようなからかいをしていた。Aさんは不愉快だったが、対立するのは良くないと思い、Bさんに頭を下げて、やめてほしいと頼んだ。するとBさんは、「どう呼んだって勝手でしょ」「指図してるよね」と逆に怒り始めた。

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