彼は暴力フェチだった…

ぶっちゃけていうと、彼はSMの性癖があったのです。おそらく彼はM。殴ってほしそうなことを言ってきたのですが、ただし、私はど素人、というか何でもないので、いきなりSになんてなれません。それもあってか、いきなり彼が攻撃してきました。つねる、叩く、言葉の暴力、勃たないのは私のせいだ! から始まり、悪夢のような数時間が過ぎました。簡単にいえば暴力にさらされたのです。そして、私が、イヤだイヤだ、やめてくれと言っていると、じゃあ、同じことを自分にしろ、と言ってきます。

さらに、早口で何かまくし立てていることに、うんうんと頷いていたら「分かってないのに頷くな! 気分が悪い!」と言うのです。しかしこれは、私の心にすごく刺さりました。そうだよね、やっぱりちゃんと聞いたほうがいいなぁ、これからは聞き取れなかったりわからなかったりしたら話を中断させてもちゃんと聞こう……ということを思いながらも、その時はどこが痛いのかわからない感じで、早くお家に帰りたい、とだけ思っていました。

それでも何というか、すぐに部屋を出よう! とは、思えない何かがありました。それだけ、ベッドに入る前の彼に惹かれていたんだと思います。何だか、色々悲しくなってきて、涙が出てきました。そうしたら、彼が優しい顔に変わっていうのです「大丈夫、ナナ、僕がついてるよ」「必ず、僕がよくしてあげるから」と。それから、これから一緒にこれをしよう、あれをしようと、色々話してきます。もちろん私は一緒になにかをしようという気持ちにはまったくなれませんでした。

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ベッドでの暴力以外は素敵な人なのに

とりあえず娘も待ってるし、帰るね、と言って身支度を整えると、彼は駅まで送ってくれました。別れ際、すごく寂しそうにしていました。ただ、実は私もこの時はこれが最後になるとは思っていませんでした。とにかく、彼の体調が良くないのがいけない、ちゃんと勃つようになれば、楽しくなるのかも。そうしたら彼は暴力をふるわなくなるかもしれないと考えたのです。でも、ずっと考えていたら、彼の「5年間の結婚生活で21回I C Uに入った」という言葉を思い出しました。そうか、S Mか。彼はMで、彼女はS。おそらく、彼がI C Uに運ばれたのは窒息プレーの果て。殴る蹴るの暴力でI C Uに21回も入っていたら、途中で死んでると思う。勃たないのも、手術の影響とかではなく、もしかしたら、窒息しないと勃たないのかもしれない。

とにかく、これは、私の手には負えません。何しろ、私、痛いのが一つも好きじゃないのです。足つぼとかリンパごりごりマッサージなんかも大っ嫌い。痛いことに喜びを感じたことは一度もない!!!

しかしながら、彼の可愛い笑顔や、楽しかった1ヵ月のウォーキング、娘さんのと晩ご飯。いろんなことが思い出されてしまいます。ちょっと自分じゃ分からない、と、友達数人に相談。答えは一つ「暴力の人はナシ!」。その通りだね。
ということで、翌日、もう会えない、と、メールをしました。彼は「そんなんじゃ君は幸せになれない。僕なら君を助けられる。」と呪いの言葉を言っていましたが、私もその呪いのようなメールを見て完全に諦めがつきました。

この後、友人たちと、どんな面白くていい人でも性的嗜好が合わないと厳しいよな、しかし、こればかりはやってみないと分からないしな、と改めて話しました。次からは、もう少し早くセックスもしたほうがいいはず……そう心に誓い、ここから、私の婚活は一気に様子が変わっていくことになります。

【次回は12月22日(水)公開予定です】

ヤマサキナナ「NY婚活日記」今までの連載はこちら