岸田首相が入れ込む「経済安保政策」、日本が生き残るため「決定的に重要なこと」

意外と見落とされているが…
加谷 珪一 プロフィール

「産業競争力の強化」が大前提

以上の話をまとめると、強力な国内消費市場を構築することこそが、経済安全保障の根幹であることが分かる。技術は時代によって変化するので、常に最先端産業の育成を続けなければ、同じことの繰り返しになってしまう。日本がなぜ過去に失敗したのか徹底的に検証し、今後に生かすことが重要だ。

仮に今回の法案によって、半導体の供給や懸念のある製品の排除に成功したとしても、10年後はまったく新しい技術が登場しているだろう。その時点において日本がトッププレイヤーでなければ、やはり製品の確保に事欠くという事態に陥る可能性は高い。

 

今回、議論の対象となっている経済安全保障政策が目の前に存在するリスクへの対処だとすると、新しい産業の育成は、より本質的・長期的な安全保障政策といってよい。

今後、数十年の経済をリードする基幹技術がAI(人工知能)と再生可能エネルギーであることは、誰の目にも明らかである。この2つの分野において日本がリードできなければ、近い将来、半導体とまったく同じ問題が発生すると予想される。すでに再生可能エネの分野は欧米および中国企業の独壇場となっており、日本メーカーの存在感は皆無に等しい(現時点において風力発電システムの多くは輸入に頼らざるを得ない)。

このままではエネルギーという安全保障上もっとも重要な分野を海外企業に握られるという事態にもなりかねない。新しい産業を育成するという視点を抜きに経済安全保障は成立しないという現実について、全国民で共有していく必要があるだろう。

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