岸田首相が入れ込む「経済安保政策」、日本が生き残るため「決定的に重要なこと」

意外と見落とされているが…
加谷 珪一 プロフィール

半導体というのは、それを使う最終製品がなければ意味をなさない。80年代は汎用機と呼ばれる大型コンピュータが主流であり、日本メーカーはこの分野で相応の存在感があった。汎用機には大量のメモリが必要となるので、半導体メーカーは汎用機向けのメモリ製造で大きな収益を上げることができた。そして汎用機を製造したコンピュータ・メーカーは、銀行などIT投資を強化している国内企業に製品を販売することができた(第1~3次オンラインシステム)。

80年代の日本においては、汎用機を利用するユーザー企業、そこに汎用機を収めるコンピュータ・メーカー、そしてコンピュータ・メーカーに半導体を収める半導体メーカー(日本は総合メーカーが多く、コンピュータ・メーカーが半導体メーカーを兼ねていた)という、需要と供給のすべてが揃っていた。

〔PHOTO〕iStock
 

現在の米国も同じである。米国には世界最大の消費市場があり、GAFAをはじめ多くの企業が最先端の半導体を搭載したコンピュータを大量購入している。アップルやエヌビディアといった企業は米国の消費者に高性能な半導体を搭載した製品を販売し、半導体メーカーはこうした米国企業に製品を納めているという図式だ。

ところが日本企業は90年代以降のIT革命の流れを見誤り、IT利用という点で、先進国の地位から脱落してしまった。ユーザーが存在しないということは国内には大きな半導体需要が存在しないということであり、当然の結果として半導体産業も衰退してしまう。

台湾や韓国は国内に大きなIT市場が存在しないため、半導体製造に特化し成功したが、これはいわば小国だからこそ実現できる戦略である。日本のように国内に大きな消費市場が存在する大国はそうはいかない。結局のところ、現時点において半導体の確保に苦心しているのは、日本がIT後進国となり、IT需要が消滅したことが大きく影響しているのだ。

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