岸田首相が入れ込む「経済安保政策」、日本が生き残るため「決定的に重要なこと」

意外と見落とされているが…
加谷 珪一 プロフィール

仮に法案が成立し、懸念のある製品や部品の使用を制限しても、それに代わる十分な製品が日本国内に存在しない場合、性能面で妥協せざるを得なくなる。インテリジェンス(諜報)の世界では、各国がそれぞれの重要分野においてどれほどのケイパビリティ(能力)を持っているのかが極めて重要な意味を持つ。性能面で妥協した可能性があるという事実は、それだけでも諜報活動においてマイナス要因となってしまう。

ドローンの問題について言えば、国内で優秀なドローン製品を開発できる環境作りこそが、もっとも重要な経済安全保障政策であり、この部分を怠った結果として、使用制限などの措置が必要になったと考えるべきだ。通信機器や監視カメラの分野も同じであり、各分野で日本メーカーが競争に敗れたことが中国メーカーの台頭を招いており、従来の競争力を維持できていれば、そもそも中国製を採用する必然性はなかった。今回の主要テーマのひとつである半導体についても同じことが言える。

 

日本の半導体産業は壊滅状態

現在、全世界的な半導体不足が深刻な状況となっているが、半導体チップの多くは台湾メーカーが生産している。半導体業界は熾烈な競争の結果、各社は得意分野に集中せざるを得なくなり、徹底的な分業体制にシフトした。半導体の設計は欧米メーカー、製造は台湾メーカー(および一部の米国メーカー)が圧倒的であり、日本メーカーは製造装置や検査装置、部材の分野でしか存在感がない。

特に台湾メーカーの製造能力は突出しており、台湾メーカーが存在しなければiPhoneの製造もAI(人工知能)システムの構築もままならないというのが現実である。

こうしたところに急浮上してきたのが台湾海峡問題である。万が一、中国が台湾に侵攻した場合、台湾からの半導体供給がストップし、米国の産業が大打撃を受ける可能性がある。バイデン政権は、米国内での製造体制強化を打ち出しており、最大手のインテルは国内工場の大増設を決断した。

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