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中国が「リトアニアと台湾の急接近」問題でバイデン大統領に噛み付いた理由

台湾海峡をめぐる確執がEUに飛び火

リトアニアで何が?

先週、日本時間の11月16日午前中に行われたジョー・バイデン大統領と習近平主席のオンラインによる米中首脳会談では、いまやすっかりアジアの火薬庫となりつつある台湾問題に関して、米中間で不慮のアクシデントを防止する「ガードレール」を作ることで一致した。

だが、それから1週間も経っていない11月21日、日曜日にもかかわらず、中国外交部は、台湾問題に関する異例の声明を発表した。今回の「震源地」は、台湾海峡ではなくて、台湾から約8300kmも離れたリトアニアである。

中国は何に怒っているのか。まずは、中国外交部の声明を全訳する。

〈 2021年11月18日、リトアニアは中国側の厳重な抗議と度重なる交渉にもかかわらず、台湾当局が「駐リトアニア台湾代表処」を設立するのを許可した。この行為は国際社会において公然と、「一中一台」を作り上げることであり、リトアニアの(中国との)国交樹立時のコミュニケ(公報)の政治的な承諾に反し、棄て去るものである。

また中国の主権と領土の完備に損害を与え、中国の内政に粗暴に干渉するものである。中国側はこのことに対し、強烈な不満と厳重な抗議を示し、両国の外交関係を代表処級(代理公使級)に格下げすることを決定した。

世界には、ただ一つの中国があるだけで、中華人民共和国が全中国の唯一の合法政府である。一つの中国の原則は、国際社会の普遍の共通認識であり、公認された国際関係の準則である。かつ中国とリトアニアが双方の関係を発展させていく政治的な基礎である。

中国政府は、両国関係を維持、保護するという善意から始め、リトアニア側が背信、棄義行為を二度と犯さないよう、再三にわたって警告してきた。だが遺憾なことに、リトアニアは中国政府の厳正な立場を無視して、双方の関係の大局と国際関係の基本準則を見誤った。台湾の名義でリトアニアに代表処を設立することを許可し、国際的に悪辣な先例を作ったのだ。

中国とリトアニアの信頼のもとに作った大使級の外交関係の政治的な基礎をリトアニア側が破壊したということに鑑み、中国政府は自己の主権と国際関係の基本準則を維持、保護するため、中国とリトアニアの外交関係を、代表処級に格下げせざるを得ない。

リトアニア政府は、このことが生み出す一切の結果を受け入れねばならない。われわれは、リトアニアが直ちに誤りを正すことを催促していく。中国人民の国家主権と領土完備を死守する堅強な決心、堅い意志、強大な能力を、決して低く見積もるべきではない。

われわれは台湾側にも、台湾はもともと国家ではないと告げる。「台湾独立」勢力がいかに事実を歪曲し、白黒をひっくり返そうが、大陸と台湾が同属の一つの中国であるという歴史的な事実は変えようがない。外国の威を借りる企図や、政治的な火遊びを行うことは、最後には必ず死路に向かうだろう 〉

 

以上である。中国と台湾のつばぜり合いは、ついに遠くEU(欧州連合)の小国にまで「飛び火」してしまったのである。一般に国家間の外交関係は、「大使級」「公使級」「代理公使級」の順なので、この次はもう「断交」ということになる。

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