日米韓の共同会見“中止騒動”…何が起きていたのか、その「顛末」

文政権の大統領府は外交を軽視?
牧野 愛博 プロフィール

文在寅政権の場合、これは保守政権でもたびたび起きていたことだが、大統領を敬うあまり、「大統領の気分が悪くなる報告はなるべくしない」という傾向がある。

昨年は、ニュージーランドの韓国大使館で過去に起きた韓国外交官によるセクハラ疑惑が表面化した。ニュージーランドのアーダーン首相は20年7月に行われた文大統領との電話会談でこの問題で抗議した。当時の康京和(カン・ギョンファ)外相は8月の国会で「大統領が居心地の悪い思いをされ、恐縮している」と語った。

関係筋は「首脳会談がある以上、事前に文大統領の耳に入れておけば良かったのに、恐れ多いと思ったのだろう」と語る。別の関係筋は、今回の日米韓次官級協議と金昌龍警察庁長官の竹島訪問の問題について「参謀たちだけで解決すべき問題として、大統領の耳には入れなかったはずだ」と語った。

 

大統領選、与党候補と大統領府の微妙な関係

そして、来年3月に予定される大統領選の与党候補、李在明氏(イ・ジェミョン)と韓国大統領府との微妙な関係が更に悪影響を与えている。

李在明氏は最近、新型コロナウイルス問題を契機とした全国民を対象にする災害支援金の追加支給問題で大統領府と対立した。自身の関与が疑われる大庄洞開発不正疑惑を巡っても、大統領府が李在明氏を十分に援護射撃していないという不満があるという。

李在明氏は11月20日、自身のフェイスブックへの投稿で、与党の共に民主党について「今や淀んだ水、怠惰な既得権になったという指摘を受けている」とし、刷新が必要だとの考えを示した。

関係筋の1人は大統領府が金昌龍長官の竹島訪問を、日米韓次官級協議の後に延期しなかったことについて「延期すれば、李在明らに攻撃される。来年5月に文在寅政権が終わった後も、権力に近づいていたいという考えが働いたのかもしれない」と語る。別の関係筋は「大統領府側に、李在明へすり寄る意図がなかったとしても、もはやレームダックのそしりは免れない」と話した。

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