日米韓の共同会見“中止騒動”…何が起きていたのか、その「顛末」

文政権の大統領府は外交を軽視?
牧野 愛博 プロフィール

韓国側の証言によれば、金昌龍長官は、今年10月に慶尚北道警察の長官が竹島を訪問したことから、「次は自分が訪問する」と周囲に語っていたという。15日夜、「金昌龍長官が16日訪問」という記事が韓国で報じられた。

日本政府は驚き、韓国外交部に事実関係を照会すると同時に、「事実であれば受け入れられない」と伝えた。このとき、韓国外交部は事実関係を把握していなかったため、日本政府の問い合わせに即答できなかった。ただ、大統領府は事前に、警察庁から訪問の予定を聞かされていた。大統領府は「報道が出た以上、訪問を中止したり延期したりすれば、逆に韓国内の反発を招く」として黙認したという。

この事実関係は、文在寅政権の大統領府が機能停止あるいは役割放棄の状態に陥っている状況を結果的に浮き彫りにすることになった。

文在寅大統領/photo by gettyimages
 

関係筋の1人は「領土問題は非常に敏感な政治案件だ。対立している相手国との外交にも重大な影響が出る。普通の国家であれば、国家安全保障会議(NSC)に情報を集約し、そこで判断する」と説明する。

韓国の場合も過去、そのようにしてきた。大統領府内のNSC事務局(文在寅政権の場合は国家安保室)が調整し、同時に外交部にも情報を共有していた。朴槿恵政権時代までは、外交部が日本などと意見交換する一方、NSC事務局の判断でお互いの立場に配慮した解決策を見つけてきた。

別の関係筋は「この場合、大統領府があらかじめ金昌龍長官の訪問を日米韓協議の後にするよう指示すれば問題なかった。もちろん、日本は抗議するだろうが、日米韓協議への影響は避けられる。文在寅政権には、こんな外交の知恵も働かないようだ」と話す。

日本政府の一部からは、コーンウォールでの騒動が再現されたことから、「韓国は日本に悪意をもって、わざとやっているのではないか」という疑念の声も出た。

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