結婚後始まったDV、妻の顔に唾を吐いた

今回は、離婚に至るまでのお話。DVはどのように繰り返され、家族の破綻を招いたのか。

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池田さん:元妻とは、恋愛結婚でした。大学時代、同じサークルのメンバーで、社会人になってから付き合いました。交際中も喧嘩はありましたが、激しいものではなかったように記憶しています。20代後半で結婚。ごく普通のカップルだったと思います。

別居後、妻は「結婚してからDVが始まった」と話していました。その通りだと思います。新婚の頃から、何かのきっかけで喧嘩になり、腹が立って妻に当たることがありました。鮮明に記憶にあるのは、言い合いになった結果、妻の顔に向かって唾をかけたこと。ほかには、イライラしてものを壁に投げつけたり、飲み物をわざと床にこぼしたりということもありました。

今は、それがどんなにひどいことかわかります。私は男で、女性よりも体格、体力の面で有利ですし、収入の違いもある。喧嘩をして大声で言い合うにしても、妻が感じるものと、妻が大声を出して私が感じるものでは大きな差がある。でもその時は、すべてが喧嘩の延長だと思っていました。喧嘩なんだから、妻も怒ればいい。やり返せばいい。妻が怖い思いをしていたとは、全く気づけていませんでした。

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妻から、「おかしいよ」「間違っている」という訴えはあり、私もその都度謝って「変わるから」「次はしないから」というやりとりを繰り返しました。
よく言われているDVのサイクルそのものです。

私としては、その瞬間は本気でそう思うんです。妻を騙そうとか、なだめようとしているわけではなくて、反省しているのです。

でも、その後も自分の感情について深く考えようとせず、喧嘩になってしまいました。例えば仕事で疲れて眠い時に不機嫌になり妻に当たり散らし、大声をあげたり、ドアを「バタン!」と力任せにしめたり。そうした行為もDVなのだ(※)とわかったのは、DV加害者プログラムに参加するようになった後でした。

※夫婦や恋人など親密な関係性で起こる暴力はドメスティック・バイオレンス(DV)といい、殴る・蹴るだけでなく、精神的な嫌がらせや脅迫、性的な行為の強要なども含まれる。また面前DVといって、子どもが見ている前で、夫婦間で激しく喧嘩をしたり暴力を振るったりすることは、子どもへの心理的虐待に当たる。被害者のほとんどは女性だ。国の調査によると、女性の10人に1人は何度も暴力を受けている。