ジャーナリストの島沢優子さんは教育現場やスポーツ指導の現場を長く取材してきた。子育てにとって大切なのは、親が子どもを導くのではなく、子どもが自分の決断で人生を決めていくのを支えることだと言う。自身が子どもに干渉しては反省を繰り返した経験から、子育てのやり方をアップデートする必要を感じ、「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」という連載を行っている。

現在20代のお子さんが二人いる島沢さん。実は22歳になった下の娘さんが大きな分岐点にあるという。連載61回目にその状況をお伝えいただく。

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22歳になった娘との対話

身内の話で大変恐縮だが、今回は娘が「自分の生き方」を見つけるまでの道のりを書いてみたい。

大学4年。首都圏の私立大学でサッカー部に所属する娘は将来、指導者になる夢を持っている。日本ではなく海外で「コーチとして生きていきたい」そうだ。ついては、指導者の勉強をする前にスペイン語圏の国で選手としてプレーしながら言葉を覚えたい。指導者ライセンスを取得する国の第一候補がスペインなので「それまでは違う国に住んでみたい」と、入団テストを受けるため今夏、コスタリカへ渡った。女子プロリーグのチームで2週間ほどプレーを見てもらった結果、入団することになった。

スペイン・ビジャレアルは佐伯夕利子さんが育成部スタッフを務めている。その育成法は話題となっており、久保建英選手も期間限定で移籍をした Photo by Getty Images

来シーズンは年明け1月のスタートだ。大学の卒論提出日は12月頭なのでちょうどいい。12月下旬からのインカレ(全日本大学選手権)や卒業式に出られないのは残念だが、仕方ない――親はそう思っていた。

8月終わりの某日の夜。誰だったか忘れたが、タレントさんがテレビで「本当に好きなことをやりたい」と話していた。
すると、普段ぼそぼそとしゃべる娘が、大きな声で言った。
「そうなんだよ。私も本当に好きなこと、やってなかった!」

え? 好きなことやってたよね。大好きなサッカーをしながら勉強も両立してたじゃん。
「いや、そうじゃない。話すと長くなるけど、コスタリカに行って人生観が変わった」