2021.11.24
# 中国

中国で隣人にバラック生活を強いられた弱者の復讐殺人へ同情と英雄視

背景に地方社会の絶望的な封建性と暴力

ある殺人事件

莆田市(ほでんし)は福建省の沿海部にあり、省都の福州市と省内最大の人口(878万人)を擁する泉州市の中間に位置する中規模都市である。福建省は山地が多く、平地が少ないことから、人々の宅地や耕地に対する執着は強いものがある。

by RFA

その、莆田市の公安局秀嶼(しゅうしょ)分局は、2021年10月18日に次のような「警情通報(事件発生通報)」を発表した。

                 《警情通報》

 2021年10月10日13時51分に、莆田市秀嶼区平海鎮上林村で故意殺人事件が発生した。事件発生後に莆田市、秀嶼区の両レベルの公安機関は殺人事件捜査体制を敷き、莆田市公安機関の指導の下で、速やかに現場検証と犯人逮捕へ向けた捜査などの活動を展開した。10月18日15時頃、公安警察と武装警察が包囲する中で、犯罪容疑者の欧某中は平海鎮上林村近くの山中にある洞窟で逮捕を拒み、裁きを恐れて自殺を図り、医院に搬送されて応急手当が施されたが効なく死亡した。

 現時点で判明しているところでは、犯罪容疑者である欧某中(男、55歳、地元の平海鎮上林村の住人)は住宅建設用地に関わる紛糾により、刃物を持って被害者の欧某九などに対して故意傷害を実施した。欧某九(男、78歳)と欧某英(女、55歳、欧某九の息子の嫁)の2人は現場で即死。林某梅(女、83歳、欧某九の妻)、欧某群(男、34歳、欧某九の孫で欧某英の息子)、欧某軒(男、9歳、欧某九の曽孫で欧某群の息子)の3人は負傷した。上述の被害者5人は全て平海鎮上林村の住人であるが、負傷者は迅速な治療により命の危険はない。現在、事件はさらなる調査を進行中である。

                        莆田市公安局秀嶼分局

                         2021年10月18日

上記の《警情通報》が報じているのは、欧某中が刃物で欧某九の家族を襲撃して2人を殺害、3人を負傷させたという事件で、事件後に逃亡していた犯人の欧某中は公安・武装警察に包囲された後に自殺して果てたという内容である。公安局の観点から見れば、事件は住宅建設用地に関わる問題で紛糾したことに起因する欧某中による5人殺傷事件であり、それ以外の何物でもないということになる。

 

しかし、中国メディアが報じた当該事件の背景はそれほど単純なものではなかった。報道を取りまとめると、我慢の限界を超えたことで犯行に及ばざるを得なかった欧某中の、やむにやまれぬ事情が浮かび上がってくるのだった。事件の経緯は以下の通りだが、加害者である欧某中の実名は「欧金中」であることが判明しているので、以下の記述では実名の「欧金中」を採用する。

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