2021.12.03
# 日本経済

貯金の9割は「単なる数字」…?ほとんどの日本人が誤解している「おカネの正体」

おカネはいつ、どの瞬間に生まれるのか
政府からも、経済学者からも、世間からも「このままでは日本は財政破綻する」という声が上がっている。しかし、それは本当なのだろうか? 安倍内閣の元内閣官房参与で、著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』を出版した藤井聡氏は、そのようなことはあり得ないと断言する。ほとんどの人が誤解している「おカネの正体」とは……。藤井氏にうかがった。

取材・文/木村博美

「おカネ」ってそもそも何?

藤井 一般的な経済学者も、政府も世間も、「財政破綻」という病にかかっているのは、間違った「貨幣観」に毒されているからです。ほとんどの人が誤解しているので、ちょっとここで、私たちが今、「おカネ」と呼んでいるものがいったい何なのか、解説しておきたいと思います。「おカネ」って、何だと思いますか?

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――えっと……簡単にいうと、「お札」と「硬貨」のことですよね。

藤井 それもおカネです。間違いありません。じゃ、毎日コツコツ働いて、たとえば手元に10万円が溜まりました。どうします?

――とりあえず銀行に預けにいきます。

藤井 何に変わります?

――預金に変わる。

藤井 そう。現金を家に置いてたらなんとなく不安だし、銀行に預けておいたら安全かなと思って、銀行へ持っていく。そしたら預金通帳に100,000という数字が記入されますよね。一生懸命に稼いだ10万円、自分の汗がしみついた10万円が銀行にある感じがするでしょう? 銀行にものすごくでっかい金庫があって、私たちが預けたおカネがそこに集まっている気がしますよね。

――アニメや映画で、よくありますね。目出し帽をかぶった強盗団が銀行を襲って、巨大金庫のドアのハンドルをゆっくりと回す。ドアが開いて金庫に入ると、札束がこれでもかってくらい、びっしり並んでる!

藤井 そうそう。でも、そのイメージは間違いなんですよ。私たちが、銀行におカネをいっぱい預けているでしょう。それをある日突然、みんなで示し合わせて、A銀行へ決めた時間に全部引き出しにいったら、銀行は、「すみません、現金が足りません」っていいますよ。銀行には、現金は少ししか置いていない。

――へえ~。じゃあ、どうやって、やりくりしているんですか?

藤井 私たちは銀行におカネを預けていますが、全額下ろすことはほぼないでしょう? ほとんどの預金を塩漬けにしているじゃないですか。銀行は、預かった現金を全部銀行に保管しておいても無駄になる。だから、銀行には現金を少ししか置いていないんです。

 

――あとの現金は、どこに置いてあるんですか?

藤井 っていうか、現金なんて、日本にはほとんど、どこにもないんですよ。

――えっ?

藤井 私たちの貯金って、1056兆円(2020年12月末時点)くらいあるのですが、それがどこかに溜まっているような気がするかもしれないけど、溜まっていないんです。数字しかないんです。たとえば僕が「銀行に100万円預けています」ということは、「通帳に1,000,000と書いてある」だけなんですよ。

――えーっ!

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