若いころは期待しかしなかった

「今だから『人に期待しない』なんて言えますけど、若い頃は、期待しかなかった(笑)。例えば仕事場のスタッフに対しても、『なんで出来ねぇんだ!』ってイライラすることもしょっちゅう。けど、長いこと仕事をしていると、徐々に、自分の人としてダメなところに気づくようになるんです(笑)。

若い頃って、どうしても、『俺ができるのになんでできないの?』って思ってたけど、だんだん『あれ、実はこれは自分ができるからってみんなできることじゃないんだな』ということに気が付いて、そう思い込んでた自分の弱点にも目がいくようになる。自分より優れている部分は必ず相手にもある。それに気づいてからは、『じゃあ人の長所は利用しなきゃな』と、人を認められるようになったんです。

とはいえ、必ずしも、毎回それを実践できているかというと……。たまに『なんでできないんだ!』と怒りそうになったとき、よくよく考えると、『俺がちゃんと伝えてなかった。こいつには2、3回言わないとダメなんだ』とか、新たに気付かされることもあって。結局すべての日々が勉強なんです。この歳になったら、人間関係がうまくいかないときは、『僕が相手を理解してなかった』と思った方が良いことも多い。……でも、内心『あれほど言っただろ!』ってムカつくことは、全然ありますけどね(笑)」

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ところどころにユーモアを挟みながら、どんな人とも対等に向き合う方法を説く。痺れるほどの人格者。ただし、本人も「この歳になったら」と前置きしたように、今の菩薩のような考えに至ったのは、ここ5年ぐらいのことらしい。

「VAMPS(※ギタリストのK.A.Zさんと組み、2008年から2017年まで国内外で積極的に活動したユニット)の活動を休止して、自分的にもいろんな問題点を抱えて、『もう1回ゼロからのスタートだ』と思ったときに、あらためて人との関わり方を見直したんです。せっかくのダメージをダメージのまま終わらせたくないから。転んだ分、それを糧にして次に生かしたいと思った

2021年8月14日パシフィコ横浜にて 撮影/緒車寿一