日本古来の食文化に、
いま一度、舞い戻ること

ここ60~70年の間で日本人の食生活は、がらりと変わりました。私は日頃から「食乱れて、民族滅ぶ」と言っていますが、食の未来というのを考える時、すでにそういうところにまで来ているのではないかと思います。

-AD-

例えば、肉をあまり食べなかった民族が、それらをどんどん消費するようになる。すると何が起こるか。47都道府県中、2005年までは男女ともに上位、女性は2005年まではトップだった平均寿命が、2015年には男性37位、女性7位となった沖縄を見ても、そこには明らかに食生活の激変があるでしょう。

かつて琉球料理が主だった間は、沖縄はものすごく健康だった。それが、アメリカから西洋の食文化が入ってきて以来、琉球料理が次第に、いわゆる沖縄料理に変わって定着していく。伝統的な食生活が崩れて変化すると、その土地の文化も、人間の身体も変わってしまうんです。

これは沖縄だけの問題ではありません。いまから約80年前まで、日本人は主に7種類の食べものしか食べてきませんでした。土の中で育つゴボウやニンジン、自然薯などの「根菜」。白菜や小松菜などの「青菜」。トマトやキュウリを含む「青果」。そして、「山菜ときのこ」。春はワラビやゼンマイを、秋はきのこを採り、湯がいてから天日に干して、乾物として一年中楽しんでいました。ほかに「豆」ですね。特に大豆は奈良時代から、豆腐や味噌、納豆として食べていました。

また、「海藻」を食べる民族は珍しいのですが、ヒジキ、ワカメ、昆布、海苔などは、我々にとって身近な食材です。そして最後が「穀物」で、米、麦、蕎麦、ヒエやアワなど。これらが伝統的な主食であり、すべてに共通するのは「植物」だということです。魚もかつてはおめでたい時にしか食べられない、副食だったんですね。

つまり、日本人というのは世界の民族の中で、最もベジタリアンで、最たる菜食主義だったというルーツがあります。遺伝子的にも野菜食が、身体にいい機能を果たすものとして組み込まれている。だからといって、肉を食べるなということではないんです。ただ、肉ばかりだと大腸へのリスクが高くなることは覚えておいてもいいですね。

肉と一緒に野菜をたくさんとることで、野菜の繊維が肉と一緒に病気につながる悪玉菌を吸着して体外に排出してくれるので、野菜はとても有り難いものだし、また副食としては肉だけでなく、魚をもっと食べた方がいいですね。日本人というのは世界一の魚食民族で、海に囲まれた島国であり、内陸部には川や湖がたくさんあって鯉や鰻、鮒や鮎もいる。魚は昔から、日本人の食生活を作ってきたものの一部ですから。