2021.11.22
# 宇宙科学

「仕事の悩みは人間関係…!?」トップ天文学者たちが語る“夢”と“現実”

「サイエンスZERO」座談会
サイエンスZERO プロフィール

天文学者がつらいと感じることは?

宇宙という壮大なテーマに挑む科学者たちは、仕事に対してどんな悩みをもっているのでしょうか。「仕事をしていてつらいこと」を聞いてみました。

まずは、太陽観測科学プロジェクト長の勝川さんのこちらの悩みから。

勝川 自分がやろうと思っていた研究を、先越されちゃったっていうのは、やっぱりよくあります。同じことに興味を持っている人がいるのはうれしいと思いつつも、やっぱり悔しい。結構ショック受けるときありますね。もっと早く論文書いとけばよかった、みたいな。

太陽観測を行う勝川行雄さん/NHK提供

これには、座談会に参加した研究者全員が大きくうなずきます。企画を人に先越されて悔しい思いをするのはどんな仕事でもあることですが、トップ天文学者も同じ悩みを持っていると聞くとちょっと安心します。

重力波望遠鏡の観測プロジェクトに携わる麻生さんも、どんな仕事にも共通のこちらの悩みです。

麻生 つらいのは人間関係です。研究者に限らないと思うんですけど、大きなプロジェクトをやっていると色々あるわけですよ。純粋にサイエンスのことだけ考えていられれば、こんな楽しいことはない訳ですけど、世の中そんなことはなくて。みんなで協力して大きなものを作ったり、共同研究したりするっていうときに、特に研究者でエゴの強い人もいる中で、どうやっていろんな人とうまくやっていくかっていうのは楽しくもあり、難しいことですよね。

そして、縣さんがつらかったのは「家族の理解」だといいます。

 日食を見に連れて行ったりとか、しし座流星群を見たりとかいろいろしたはずなんですが、全く興味がなくて…。男の子が2人いますが『お父さんはキャッチボールをしてくれなかった』というひどい父親になってしまいました。

普及室長の縣秀彦さん/NHK提供
 

小久保さんは、研究が心から好きだということが分かるこんな悩みを教えてくれました。

小久保 研究のつらさっていうのは、あまり苦にならないんです。プログラムが動かないとか、計算がうまくいかないというのは、そんなに苦じゃなくて。でも、研究以外にもいろんなことをやらなくてはいけなくて。研究ができない、時間が取れないっていうのが一番つらいです。

そして、ハワイにあるすばる望遠鏡を使った銀河の観測プロジェクトを率いる田中さんは、こんな悩みを抱えているそうです。

田中 ハワイ観測所で次の装置を作る作業が、今続いていまして、日本が中心となってはいますが、アメリカやヨーロッパいろんな国の共同作業で進んでいます。で、しょっちゅう電話会議があるんですが、いつするかというと、アメリカ、日本、ヨーロッパでやると、大体日本が犠牲になって夜中なんです。観測であれば夜中でも『やるぞ』というモチベーションはあるんですけども…。しかも、それが定例で毎週のようにある。それで、ケンカじゃないですけど、言うことは言わなきゃいけないのでハッスルする。そうすると終わってもすぐ寝られなかったりするのですが、朝には起きて子どものご飯作らなきゃいけないとか、家事もある訳ですよね。そうすると、睡眠時間が短くなってきて結構しんどい、というのがつらいです。

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