2021.11.22
# 宇宙科学

「仕事の悩みは人間関係…!?」トップ天文学者たちが語る“夢”と“現実”

「サイエンスZERO」座談会
サイエンスZERO プロフィール

天文学者へのきっかけは?

世界の天文学をリードする国立天文台の研究者たちですが、いったいどんなきっかけで天文学者になったのでしょうか。

「この世界はどこから来たのか?」という問いが、宇宙に対して興味を持つきっかけだという重力波観測の麻生さんは、子ども時代に強く影響を受けた本やテレビ番組を教えてくれました。

麻生 中学生の頃にスティーブン・ホーキングの『ホーキング宇宙を語る』が流行っていて、全く分からないながらも読んでいました。そして、NHKでやっていた『アインシュタインロマン』も私にものすごい大きな影響を与えました。アインシュタインは、この世の物理の法則は「創造者がいる」としか思えないぐらいあまりにも美しいと考え、最終的には神を信じるようになったと番組で言っていました。そういう境地に自分も至ってみたいなと思ったのです。

同じように天文学に興味を持つきっかけがテレビの番組だったというのがシミュレーション天文学の小久保さんです。

小久保 NHKで『パノラマ太陽系』という、探査機ボイジャーが外惑星を次々と探査していくのが放送されていて、そこで見た土星や木星の姿を見て「うわ、なんてカッコいいんだ! 宇宙にはこんなものがあるのか」と思って。そして、宇宙が始まって自分に至るまでの歴史ですね。ビッグバンから始まって、銀河、恒星、惑星が生まれ、生命が誕生して、自分に至るっていう。その大きな流れにすごく興味を持って、最終的に研究の世界に来たっていう感じですね。

ボイジャー2号が撮影した土星/画像提供:NASA, Jet Propulsion Laboratory, Voyager Project
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一方、ある意外な出来事が「すばる望遠鏡」で観測する現在につながったというのが田中さんです。

田中 何十年か前、訪問販売がすごく流行っていました。家に押しかけて「教科書いかがですか」みたいに来ていましたが、それと同じように「望遠鏡いかがですか」っていうのが我が家に来たらしいんです。で、間違えて買っちゃったんです。小学2年生くらいのときに、その望遠鏡で父が月を見せてくれて、その時は「まあ、月、こんなもんか」くらいにしか思わなかったんですけど、その月が、頭の片隅にずっと残っていたんです。そして、あるとき望遠鏡がほこりまみれになっているのを見て、ちょっと久しぶりに出して見てみようかなと思って見てみたら、初めて月を見た時の薄っぺらな印象が、すごくリアルになってもう一回よみがえってきて。「あ、これは面白い!」と思っちゃったのがきっかけです。

実は、太陽観測プロジェクトの勝川さんも同じように望遠鏡で天体を見たことが今につながっているといいます。

勝川 家に小さな望遠鏡があって、一番感動したのが土星の輪を見たときでした。肉眼で見ると点にしか見えないんですけど、望遠鏡で見ると写真のように輪っかが見えるということにものすごく感動したのを今でも覚えています。その後、親におねだりして少し大きな望遠鏡を買ってもらって、星団とか星雲とかを見たのですが、宝石のようにキラキラしているのが印象に残っていて。それから、ものすごく好きになりました。

本やテレビ番組、そして望遠鏡。子ども時代の“感動体験”が天文学者に進むきっかけになっていたんです。

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