2021.11.22
# 宇宙科学

「仕事の悩みは人間関係…!?」トップ天文学者たちが語る“夢”と“現実”

「サイエンスZERO」座談会
サイエンスZERO プロフィール

宇宙のどこにでも行けるなら?

「どこにでも行ける宇宙船やタイムマシンがあったら、どの時代のどこに行きたいですか?」

まず、こんな素朴な疑問を天文学者の皆さんに投げかけてみたところ、それぞれのとっておきの場所を教えてくれました。

重力波望遠鏡KAGRAの設計に携わってきた麻生洋一さんは、宇宙に興味を持つきっかけになったという「この世界はどこから来たのか?」という根源的な問いの答えを見に行きたいといいます。(※以下、敬称略)

麻生 リアリティーを無視すると、絶対に見たいのは宇宙の始まり「ビッグバン」の瞬間です。物理的にそこに行くとか、見るなどということはどういうことかと考え始めるとあれですけど・・・。

ビッグバンのイメージ/画像提供:NASA's Goddard Space Flight Center/CI Lab
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天文学の普及活動を手がける縣秀彦さんが「現実派なので近いところ」といって挙げてくれたのは、太陽系から最も近い恒星として知られる「プロキシマ・ケンタウリ」です。

 ケンタウルス座α星の1つで、2016年に周りに惑星があることが見つかったんです。だから、そこに生き物がいるかどうかをいち早く確認したいというのが、私の夢です。

プロキシマ・ケンタウリとその惑星のイメージ図 画像提供:ESO/M. Kornmesser
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“近い”とはいっても、地球から4.2光年離れているので、光の速度で4年ほどもかかる場所です。その場所を“現実派”と言いながら挙げることからも、天文学者が研究対象にしている宇宙のスケールの大きさを感じます。

一方で、「どこにも行かない」という回答を選択した研究者もいます。ハワイのすばる望遠鏡で銀河の観測を行っている田中賢幸さんです。

田中 私は銀河がどのように生まれてどのように育つかという研究をしていますので、できることなら実際に銀河が生まれている現場や成長している現場に行きたいという気持ちもあります。しかし、それをやっちゃうと私の今の研究に対するものすごいズルをしているんじゃないかと思うので、まさかの「宇宙船に乗らずおとなしく地球に居続ける」という答えにしておきます。

すばる望遠鏡が撮影したアンドロメダ銀河/画像提供:国立天文台
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田中さんが地球に居続けるという選択をする一方、太陽系の成り立ちを数値シミュレーションによって研究している小久保さんは自分の研究結果の答え合わせに行きたいといいます。

小久保 ズルいのかも知れないのですが、やっぱり答え合わせに行きたくて。自分だったら46億年前の太陽系に行って、どういうふうに地球が生まれていくのかというのを見てみたいです。それをやったら僕の研究人生は終わりかも知れませんが。でもやっぱり本当のことを知りたいので、タイムマシンと宇宙船があればちょっとズルしてでも見たいです。

原始惑星の巨大衝突/シミュレーション:玄田英典、可視化:中山弘敬 4D2U Project,NAOJ
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