高齢社会の老後は「波平さんモデル」から「人生100年モデル」へ

それに合わせて金融のモデルも大変化

平均寿命が60歳から80歳に伸びて変わること

高齢社会のなかで、戦後、常識としてきた前提・環境が転換することを、筆者は「波平さんモデル」から「人生100年モデル」へとして議論してきた。

「波平さん」とは1950年代に登場した国民的な漫画「サザエさん」のお父さんで、設定上54歳とされる。今日、63歳になった筆者は、かつて「天才バカボン」のパパの年齢、41歳を超えた時に愕然としたことがあったが、今や、波平さんの年をも大きく超え、さらに感慨深いものがある。

この漫画が始まった終戦直後、サラリーマンの一般的定年は55歳、男性の平均寿命は60歳に達していなかった。当時想定された人生設計モデル、「波平さんモデル」では人生が現役世代で概ね完結し、事実上老後はなく、年金や老後資金、自助努力での資産運用の必要もなかった。

2019年、金融庁の金融審議会、市場ワーキンググループでの報告「老後資金の2000万円問題」で議論する余地もなく、昨今の話題映画「老後の資金がありません」が登場する余地もなかった。

以下の図表1に示されるように、今日、男性の平均寿命は80歳を超え、「人生100年モデル」に至っている。一方、多くの企業で定年が60歳以上に伸びたとはいえ、平均寿命である80歳以上には達していない。

さらに「人生100年モデル」時代には全く別の発想や制度設計が必要になる。老後が10年や20年にも及ぶなか、そこで必要とされる資金を補う年金だけでなく、老人医療や介護も不可欠になる。

加えて、年金だけでは不足する場合、自らの老後のための資産形成が必要になる。高齢社会のなか、資産運用の重要性が高まり、金融機能は必需品であり、高齢者への金融包摂は重要な課題になる。

 

■図表1 戦後日本の平均寿命の推移

出所:厚生労働省「第22回完全生命表」 作成:岡三証券 直近は2015年

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