引継ぎのメインは「移乗」でした

では、どのように引継ぎしたのかをお伝えします。私の場合、訪問介護の方からしていただく1日3回の介護の中心は「移乗」でした。主治医の成川医師や服部PTや訪問看護の皆さんともお話しして、なるべくベッドにいる時間を短くしていこうと計画したのです。

実は、罹患して最初に私が考えたのが「ベッドの上で何でもできるようにする」という事でした、ベッドをコックピットみたいにする感じです。音楽も脚本もベッドでパソコンを駆使して作業するってかっこいいじゃないですか(笑)。

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ところがこの考えに周囲の皆さんは大反対だったのです。「そんなことしたらすぐに身体が動かなくなりますよ!」「無理はいけないけれども、楽は駄目です」という事でした。今までたくさんの患者さんを診てきた方たちの意見ですし、お話を伺うと確かにその通りだと思いました。たとえ体幹が中心でちゃんと座れていない座位だとしても、椅子に座って背筋を伸ばさなくなると、すぐに能力が落ちていくのだそうです。

「無理は禁物」も事実だそうで、頑張りすぎると逆に筋力が落ちることが多いのもALSに現れることが多い特徴です。そのあたりのさじ加減がものすごく難しくて個人差が激しいので、面倒なのです。皆さんからいただいた「出来る事はやり続けましょう」という言葉は自分のポリシーに近い事ですので、その意識で進むことにしてもらっています。

D訪問看護ステーションのKさんと津久井さん。何でもできる方なのでお任せ状態なのだそう 写真提供/津久井教生

我が家にいらしてくださっているヘルパーさんに「津久井爺からの3つのお願い」という基本的に頼んでいることがあります。その一つが「体幹トレーニングに付き合ってください」という事です。これは移乗の時に発揮されるものであります。最大限体幹を生かしてもらい、単純に運んでもらうのではなくて「自分が動いているような感覚」にしてもらいながら運んでもらいます。

全く身体に力を入れない状態で運んでもらうのではなくて、要所要所で体幹による寝返りや座位を感じていきながらの移乗です。ですから津久井独特のやり方と順番があります。妻と二人で作ってきたやり方を基本に進化させてきている方法を覚えてもらってやってもらいます。「移乗を手伝ってもらう」という感じでやってもらっていて、ありがたい限りなのです。