にしおかすみこさん連載「ポンコツ一家」。80歳認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父、そして一発屋の自分を、愛をこめて「ポンコツ」と呼ぶにしおかさん。
母親が認知症ではないかとにしおかさんが気づいたのは、2020年春のことだった。2020年コロナで仕事が減ったにしおかさんが実家に立ち寄った時に、家の様子もなにも大きく変わっていたのだ。家が砂場のようになり、危機を抱いたにしおかさんは同居を決意する。

食材を冷蔵庫で腐らせてしまったり、お金の管理でもめてしまったり、なかなかハードな生活を送るにしおかさん。自治体に介護を頼むにも、それには認知症の正式な診断が必要になる。連載3回目では、2020年6月にようやくの思いで病院に連れていくことに成功したことをお伝えする。

その前編「80歳の母は認知症なのか…にしおかすみこが母を病院に連れて行った時の話」では、病院に行くまでの母親の様子と、診断が始まったことをお伝えした。果たしてそのあとどうなったのか……。

女王様スタイル時代のにしおかさん 写真提供/にしおかすみこ
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記憶力テスト 

質問がいくつか続き、答えたり、答えられないほうが多かったか……。

続いて、先生が箱を出して来た。
「次は記憶力テストみたいなものです、楽になさってください」と。

母の顔がずりっと、ズレた地層みたいな顔になっている。
明らかに疲れている……頑張れ……。

箱にはハサミ、スプーン、時計、鍵、ペンの5つが入っていた。
「よく見て覚えて下さい。いいですか?」と、母が確認し納得したところでゆっくり箱は閉じられた。
「では中に入っていたものを言ってみて下さい」

Photo by iStock

「……えっと、いろいろありました。スプーンとかフォークとかナイフみたいのがありました」

「そうです、ありましたよ、その中のどれでしたっけ?」

母は先生の顔を凝視しながら
「フォーー?、、スプーー?、、フォ、、ナイ?、、スプーン!」

「そうです。スプーンです」

探りが酷い。
一か八かではなかったか。
先生の細い目の奥が口ほどにものを言ったのではなかったか。