11月6日、東京大学と吉本興業株式会社が共同で立ち上げた「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」の一環として東京大学の学部学生が自ら企画した「教×興×響「きょう」から始めるSDGs祭」が、池袋西口公園野外劇場グローバルリングシアターにて開催されました。

このイベントは、持続可能な開発目標(SDGs)を知り、自分でも取り組むことを考えるきっかけとなることが目的とされたもの。東大生の頭脳からSDGsを学ぶクイズ企画や、オズワルド、フルーツポンチ、おかずクラブら実力派芸人たちが披露するSDGsにまつわるネタ、話題のアーティスト・木下航志さん、fumikaさんを迎えた音楽ライブなど、多彩な催しが展開されました。

世間一般のイメージでは「勉強一筋」「お堅い」といった印象もある“東大生”ですが、イベントの企画・実施をとおして「笑いの力」からたくさんのことを得たといいます。本記事では、プロジェクトに携わった現役東大生の熱いルポルタージュをお届けします。

写真提供:「教×興×響「きょう」から始めるSDGs祭」

笑いのプロとともに

『教×興×響「きょう」から始めるSDGs祭』というイベントは、学生が「今までの生活と異なる文化・価値観に触れる」ことを目的として、大学が実施している体験活動プログラムの一つとして企画されたものだ。私が参加したプログラムは、『笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト』と題し、分野を異にする吉本興業と東京大学が、共通して取り組んでいるSDGsの理念に基づいて、人材交流を通して持続可能な未来に対応できる人材育成を目指すという趣旨でスタートした。具体的には、東大生がイベントのプロデューサーになって、SDGs理解を促すPRイベントを企画するというものである。

もともとお笑いが好きだった私は、笑いのプロとともに社会のために何かを作り上げることに強い魅力を感じ、すぐさまプログラムに応募した。SDGsに関しては、授業や講演会などで何度かインプットをする機会はあったものの、発信していく経験はそれほどなかった。そのため、東大生として十分に貢献できるのか懸念があったが、大好きなお笑いに関することなら少しは役に立てるのかもしれないと思った。

登壇したオズワルド
おかずクラブ

イベントのコンセプトは「学び、笑い、音楽の融合による感動とSDGs理解」だった。プロジェクト始動日に吉本興業の方からこのコンセプトを伝えられたのだが、正直な気持ちは、「要素が多いけれど、大丈夫だろうか」だった。しかしそれと同時に、これまでにない全く新しいイベントになることを期待し、その醍醐味を感じた。

このプロジェクトでは、イベント内容を企画する「構成チーム」とポスタービジュアルを作成する「ビジュアル・プロモーションチーム」に分かれ、私は「構成チーム」の一員として主にイベント名の考案とコンテンツ構成に携わった。

イベント名の会議では、学生が持ち寄った案をもとに、様々な角度から議論がなされた。どんなタイトルが興味を引くのか、イベントの独自性が現れているか、「東大」というワードを押し出すべきか、「SDGs」をアピールするべきか、見る人にイベントのイメージが正確に伝わるか…。

特に、「伝わりやすさ」と「SDGsのアピール度」に関する議論が印象的だった。

笑い、学び、音楽、SDGsという様々な要素を全て盛り込みたい一方で、くどくなりすぎるのは避けたい。かといってシンプルすぎるとコンテンツをイメージしにくい。様々な意見や提案がなされた結果、学び、笑い、音楽をそれぞれ漢字一文字で「教×興×響」と表したり、ポスターデザインを工夫したりするという方向に落ち着いた。

また、SDGsというワードについても議論が交わされた。「言葉だけが一人歩きしてしまい、それによって一部の人はその言葉に抵抗感を覚えているのではないか」という視点があがったのだ。それでもやはり繰り返し発信し続けることが大切だという思いから、最終的にSDGsというワードを盛り込むこととなった。

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イベント名に関する議論を通して、伝えることの難しさを身にしみて感じた。独りよがりな発信では、誰も興味を持ってくれないし、心に響かない。アウトプットをする側として、とことん受信者側の視点に立って考えることを意識した。また、この体験によって、SDGs理解の促進が抱えている問題やそれに対する自分の考え方を再認識することができた。