「孫の教育資金」に1500万円を「贈与」した、77歳の男性が、いま大後悔しているワケ

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だが、ここでもタイミングの誤算が起きることがある。椎名博さん(68歳・仮名)は語る。

「結婚30年を迎えた時に今までの感謝の気持ちも込めて、自宅を妻に贈与したんです。司法書士に頼んだので、税金と合わせて100万円近くかかりました。それでも、私の死後に、妻が名義変更の手間なしで住み続けられる安心は大きいだろうと思っていました」

ところが昨年夏、妻にステージIVの肝臓がんが見つかった。治療も及ばず、冬を迎える前に椎名さんの妻は旅立った。高い費用を負担して妻名義に変えた家は、再び椎名さんの名義に戻った。

「仲が良い夫婦ほど、おしどり贈与を検討しがちです。しかしそれにかかるコストや、妻が先に亡くなる可能性を考慮すべきでしょう」(司法書士・内藤卓氏)

一方、子供に不動産を贈与する場合は、相続時精算課税制度を使う場合が多い。これは2500万円まで非課税で財産を渡せる制度だ。ただし、財産をあげた人が亡くなると、相続の時に課税され、「精算」される。

 

「都内の土地など、これから価値が上がりそうな不動産であれば、この制度を使うと節税をすることができます。たとえば2500万円で贈与した土地が、相続時には3500万円に価値が上昇していたとします。

ただの相続であれば、3500万円に相続税を課される。しかし相続時精算課税制度を使っていれば、贈与があった時点の2500万円分しか、相続税を負担する必要がない」(TSPコンサルティング代表・佐藤毅史氏)

ただしこの制度を使うにも、適切なタイミングがある。実は一度、相続時精算課税制度を使うと、同じ相手への暦年贈与が使えなくなってしまう。暦年贈与が確実に存続している'22年末まで相続時精算課税制度を待ったほうが、トータルの税額を考えると得だ。

焦らずに、やるべき贈与を見極めていくために、富裕層たちの節税対策が参考になる。それを後編の「お金持ちだけが知っている「相続税を半分にする」節税の裏ワザ」でみていこう。

『週刊現代』2021年11月13・20日号より

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