――学校現場から見て、家庭や社会のレベルで道徳について誤解されている、理解してほしいと思うことは?
森岡 先ほども言いましたが「心の勉強だけをやっているわけではない」ということですね。教科書や教員が「心を磨く」ことを押しつける時間だと思っている方も多いかもしれませんが、今の道徳は「考え、議論する道徳」と言われ、抽象的・論理的な思考力も求められます。道徳には「たったひとつの正解はない」からこそ、テーマ設定がおもしろくて手法もフィットしていれば「正解がある」教科以上に議論が深くなる可能性が大いにあります。子どもたちが自分の考えを持ち、話し合いする力を身に付ける時間であり、真剣に取り組むことで学力も伸びていくはずだと個人的には思っています。