2021.11.21
# 学校・教育

いま「道徳の授業」が“面白くなっていた”…!

誤解だらけの道徳の授業観を更新する

『おもしろすぎて授業したくなる道徳図解』(明治図書)という、小学校教員のための道徳の授業づくりの解説書が刊行された。小中学校時代を振り返ってみても道徳の授業が「おもしろい」と思った経験がほとんどない筆者は、「教師はそもそも道徳の授業をおもしろくしたいと思っているのか?」という驚きと疑問を抱いた。著者で京都府公立小学校教諭である森岡健太氏に、なぜ道徳の授業がおもしろいほうがいいのか、授業がおもしろいと児童はどう変わるのか、道徳の授業を通じていったい何が学べるのかについて訊いた。

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道徳の授業は「心の教育」だけでなく「生きる力」を育む時間

――まず前提として、道徳の授業が今カリキュラム上どういう位置づけになっているのかから改めて教えてください。

森岡 道徳はすべての教育活動の要とされ、よく扇の根本にたとえられます。ただし、「道徳教育」と「道徳の授業」は違います。

道徳教育は教育活動全般を通して行われるものです。たとえば担任の教師が朝の会など日々存在する子どもに語りかける機会を通じて「友だちにはやさしくしたほうがいい」といったことをそのまま伝えるのが道徳教育です。

対して、道徳の授業は週に1回、年間約35時間行われるものです。道徳の授業は小学校では2018年度、中学校では2019年度から「特別の教科」ということで教科化されました。学習指導要領も改訂され、検定教科書が導入されました。みなさんが小中学校のころも教科書があったように記憶されているかもしれませんが、あくまで教科書に準ずる「副読本」を使っていたんですね。

――教科になったということは、評価が付く?

森岡 算数や国語のように普段の授業の様子+テストの点数で3段階の評定が付く、ということではありません。道徳では数値は付かず、「所見」というかたちで文字のコメントが書かれます。それも「あなたは道徳ができていない」みたいな評価のしかたではなく、「こういう考え方をしていましたよ」といったことを保護者の方に通知表でお知らせしています。私が見ている限りでは、子どもたちは国語や算数に関しては評定が上がった下がったと言っていますが、道徳の評価についてどうこう話している印象はありません。「評価が付くからがんばろう」という感じもない。

また、ここは教育関係者以外には誤解されやすいところなのですが、あくまで「道徳の授業の評価」であって、授業のなかでどう考えていたかだけを扱います。「ふだん親切にしていた」等々は評価に入りません。人間としての道徳性を評価するわけではない、ということです。

――そもそも道徳を学ぶ目的は、学習指導要領上は何と書かれているのでしょうか。

森岡 簡単に言うと「よりよく生きるため」ですね。道徳の授業は「心の教育」だと思っている方が多いと思いますが、「マナーを大事にしましょう」といったことを学ぶだけではありません。「実際に自分がこういう場面に出くわしたらどうするんだろう」といった、実生活に結びつくような「生きる力」を育むために重要だと書かれています。抽象的な思考力を養うものでもあると思っていただければ。

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