窓から海が見える父のキッチン

梅宮家の食事は、1年のうち半分が外食で半分が父の手料理。父が不在の時は、母と一緒に外へ食べに行きました。全員で外食する日もあったものの、父が家で作るより、外で済ませたほうが絶対に安上がりだろうなと思っていました(笑)。

母は一切料理をしない人でしたが、料理研究家の飯田深雪先生が主宰する料理教室には熱心に通っていました。と言っても料理に興味があったわけではなく、飯田先生に憧れて「先生のアシスタントになりたい」という理由から。残念ながら既婚者はアシスタントになれないということで母は不採用に終わったのですけど、おかげで料理の知識だけはものすごくありました。

梅宮アンナさんインスタグラム(@annaumemiya)より
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また、我が家には父用と母用でキッチンが2つあり、冷蔵庫も2台あったのですが、もう中身が全然違うんです。父の冷蔵庫には世界中の珍味が入っていて、勝手に食べると怒られました。本当に食へのこだわりが強く、何よりもキッチンに立っている時が幸せ。父は海も大好きでよく海釣りを楽しんでいましたが、釣りと料理を同じくらい愛していたと思います。

現在私は、父が遺した真鶴の一軒家で暮らしています。キッチンの窓からは海が見え、ガスレンジは火力の強い業務用。父がこの家を建てたのは私がまだ高校生だった33年前ですが、料理を楽しめるように細部まで考え抜いたんだろうなということが、自分で料理をするようになって初めてわかりました。キッチンに足を踏み入れるたびに、ここで腕を振るっていた父の後ろ姿を思い出します。