2021.12.10
# ADSpecial

理想は「三河屋のサブちゃん」…?カクヤスの「ピンチに強い」経営哲学

「冷蔵庫の隣まで運ぶ」ことが生む信頼

「氷の宅配」で大失敗の過去

──話をお聞きすると、カクヤスはピンチのたびに配送システムを強化してきたように感じます。

佐藤:それは言えるかもしれません。例えばコロナも大ピンチですが、カクヤスは今も新たな挑戦を始めました。従来、「なんでも酒やカクヤス」店舗の売り上げは、来店、家庭用宅配、業務用宅配が各3分の1という構成でしたが、コロナで飲食店が休業になったため、そのうち3分の1が消滅してしまいました。

売り上げ減を補うためには家庭用を増やすしかありません。幸い巣ごもりでお届け需要が増したのは、家庭向け拡大のための千載一遇のチャンスと考えました。そこで、創業100年目ではじめてお笑いタレントのバナナマンを起用したテレビCMを打ったところカクヤスの知名度が一気に高まりました。

ただ、コロナはいずれ収束します。問題は業務用が復活したときの対応。そこで、業務用は店舗から切り離すことにしました。これまでは大きな倉庫からのルート配送と、お店からの即配の二層構造だったのを、ルート配送、即配の業務用と家庭用の宅配という「三層構造」に変えるプロジェクトを今進行しています。完成すればカクヤスの配送網はさらに筋肉質になるでしょう。これもコロナがなければやらなかったことですね。

食料品のコーナーを充実させ、酒類に限らない取扱い商品の拡大を実施している

──ピンチを生かすにはアイデアを実行する勇気が必要です。なぜ社長にはこうした実行力があるのでしょうか。

佐藤:結果的にはそう見えるかもしれませんが、ほとんどは錯誤から始まっているとも言えます。こんなことをやればお客様も喜ぶし、我々も生き残れると始めているだけです。勿論、始める前には予測や計画も立てますが、頭で考えた結論は会社の都合が優先していますから、面白みに欠ける。むしろ確信が持てる前にやるから面白いんです。

──社長も過去に失敗したこともあるのですね。

佐藤:ありますよ。大失敗だったのが、「氷の宅配」です。ハイボールが流行し始めたのを見て飲食店は氷が足りなくなるだろう、と思ったのです。何千万円もかけてアイスストッカーを店舗に設置して、保冷バッグも準備しましたが、まったく売れませんでした。

どうしてかというと、飲食店で氷が足りなくなるのは夜10時過ぎ。カクヤスの店舗は10時に閉まるから、間に合わないので注文しない。単純ですよね。

お客様のストライクゾーンに1球目から投げ込むのは無理だと私は思っています。お客様の方からもここに投げてくれとも言いません。だったら多少ずれていても、こちらが球を投げるしかない。するとコースはいいけど低い、とお客様が言ってくれる。

そこで同じコースで前より少し高くしていくと、打ち頃のストライクゾーンに入る。非効率かもしれないが、多分、これからもそれを繰り返していくのでしょうね。