愛国心が強いほど「政治参加する」のか? 調査から見えた「意外な結果」

右派・左派がともに知っておくべきこと

「公共に背を向ける日本人」

2021年10月31日投開票の第49回衆議院議員総選挙の投票率は55.93%であった。これは衆院選投票率としては戦後3番目の低水準の結果である。このように、近年の日本では有権者の「選挙ばなれ」が深刻な課題となっている。

日本人が離れようとしているのは選挙だけではない。選挙運動の手伝い、政治集会への参加、請願書への署名、街頭でのデモ参加、政治家・公務員への陳情などの、投票以外の形での政治参加にも、多くの人々は関わっていない。関わりたいという意思も持ち合わせていない。加えて、自治会・町内会、NPO、ボランティア団体、労働組合などの様々な市民社会組織への参加にもかなり消極的である。

家族、友人、同僚などの私生活や職場の狭い範囲を超えて、公共的要素の強い政治や社会活動に関わることをできるだけ回避しようとする。いわば、「公共に背を向ける日本人」。それが今日の平均的な日本人の姿といえよう。

民主主義は本質的に市民の活発な参加を前提とする政治システムである。市民による一定水準以上の政治参加、社会参加が存在しなければ、健全な民主主義は維持できない。それゆえに、「公共に背を向ける日本人」という現状は看過できない。改善していく必要がある。

〔PHOTO〕iStock
 

どうすれば公共的事柄に関心をもち、政治や社会活動に積極的に参加する人々、すなわち「活動的市民」を増やしていくことができるのだろうか。この点に関して、右派(保守派)と左派(リベラル派)の間では、じつは大きな見解の差異が存在する。

右派は活動的市民の心理的基盤としてまず愛国心の涵養が必要だと考える。たとえば、自民党文教族の長老であった奥野誠亮はかつて以下のように語った。右派の典型的な認識を示すものといえよう。

「自分の愛するものであって初めて、愛するものがよくなるように努力をする。この国を愛さずして国をよくしようという心がけが持てますか」(『週刊朝日』2003年6月20日号、156頁より引用)。

そして右派は、日本人の愛国心は左派色の強い戦後教育の中で一貫して低下してきたので、きちんとした愛国心が持てるように公教育を「再生」しなければならない、と考える。つまり、日本人が公共に背を向けるようになったのは、愛国心が欠如しているからであり、公教育を通じて愛国心を涵養しなければならない、というわけだ。

右派のこうした見解は、単に言説レベルで展開されるに留まらず、実際の制度改正に結実してきた。とくに、第1次安倍晋三内閣の下での2006年教育基本法改正のインパクトは大きかった。同法改正により、愛国心や公共の精神の涵養が公教育の目的として正式に掲げられるようになったからである。

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