「子どものコロナは重症化しない」は本当か?

治験での安全性がわかっても、「大人より感染しても重症化する確率が低い子どもになぜ接種するの?」「子どもは接種の必要がないのでは!? 」という意見は根強くあります。

ですが、すでに小児の接種が始まったアメリカはパンデミックが起きてから、子どもの感染者数は630万人、入院に関しては24,000人以上、うち1/3 は ICU治療が必要でした。感染後、特に小児に起こる多系統炎症性症候群(MIS-C、色々な臓器が炎症をおこしてしまう症候群)を起こした方は5000人以上でした。

また、入院した子どもたちの31%は基礎疾患がない子で、いわゆる健康な子どもと言われる子ども達が、入院した子供たちの1/3でした。そして、残念ながら、コロナ感染症で亡くなってしまうお子さんが約600人(10月時点)で、コロナでの死亡は、子どもの死因の第8位になっています。

子どもは大人と比べて重症化しにくいということは、もちろん事実です。でも、「絶対に重症化しないわけではない」ということもまた事実です。アメリカのように感染対策を怠った場合は、小児の感染は無視できるものではないのです。

デルタ拡大で、子どもの感染搬送も増加。この女の子はヒューストン在住の女の子。発熱、嘔吐などを訴え、検査後感染が発覚したという。photo/Getty Images

さらにパンデミック中、学校に行けなかった子どもも、アメリカの中で100万人以上いて、パンデミック中に小児精神科の受診率は3割も増加したという結果が出ています。これは私自身の専門分野ですが、この1年半の状況をみて、子どもたちの精神的な影響に関しては、本当にマズい状態になっているな、ということを毎日患者さんを診る中で感じています。

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もちろん、これはアメリカのケースであり、「日本じゃないでしょ」と言われる方もいると思います。ですが、今回の新型コロナウイルスはグローバル・パンデミックで、同じウイルスが世界のさまざまな場所でいろいろな流行り方をしています。だからこそ、他国の状況を見て、正しく分析をして、私たちの国ではこうしていこうと対策を考えることが必要です。他国は関係ないではなく、他国から参考になること、学ぶことはたくさんあるのです。

そして、日本よりも先に、子どもたちの接種が始まったアメリカの現状はよくみておく必要があると思っています。日本は感染対策に対しては世界の中でも誇れるほどきちんとしていると思います。ですが、「アメリカのような状況に陥っていなくても、子どもの接種をする意味あるか?」と問われたら、私は「急がなくてもいいけども、私の答えはYES」です。

その理由は、新型コロナウイルスは、本当に厄介で、急に思わぬ変化球が飛んでくることもあるからです。デルタのように変化が起きた瞬間に感染者数が爆発して重症化する年代が変わるケースもあります。だからこそ、1回目から2回目が終わるまでに1ヵ月半かかるワクチンの接種を感染拡大が始まってからでは遅い、というのが現実だと思うのです。