東芝再建を政府は諦めていた…「綱川改革」虚しく突き進んでいく「解体消滅」の末路

消滅への道を突き進んでいる

「再建?(政府は)そんなことができると考えたことは一度もありません。念頭にあったのは、当面必要な資金を捻出するため、子会社や事業の売り食いを繰り返して経営破たんを避けながら、その間に、歴史ある東芝に埋もれている有望な事業や技術を一つでも多く世の中に残せればいいな、ということ。日本のことですから、できれば日本企業に引き継がせたいという思いはありました」――。

11月12日、東芝は鳴り物入りでスピンオフ(分離)による会社の再建策を盛り込んだ中期経営計画を発表した。それから数時間後、政策的な支援に関わったことのある政府関係者が取材に応じ、こう漏らしたのだ。

新聞やテレビが鳴り物入りで持ち上げた事業再編策も、予想される結果は過去にいくつもあった策と変わらず、東芝再建の決め手にならないだろうというのだ。

現社長の綱川智氏/photo by gettyimages
 

それどころか、老舗の総合電機メーカー・東芝は最初に粉飾決算が発覚した2015年の段階ですでに手の施しようがなく、ゆっくりと解体・消滅への道を突き進んでいるという認識を明かしたのである。

その言葉で、数年来の筆者の疑問はようやく氷解した。儲かる事業を残して、不採算事業を整理するのが経営再建の常道なのに、なぜ、東芝は逆の戦略、つまり儲かる事業から売却するという愚策を繰り返すのか納得できずにいたからである。

目指していたのが企業の再建ではなく、ひとつでも多くの事業や技術を他の企業に嫁入りさせるということだったというのは、筆者の予想を超えていた。

この人物は、早くから政府が、東芝の米原子力子会社のウエスティングハウスに未処理の巨額損失が発生している事実を察知していたことを示唆した。その時期は、東芝が2015年7月にパソコン事業の利益を会社ぐるみで水増しするなど粉飾決算行為が横行していたことを正式に公表、当時の田中久雄社長と佐々木則夫副会長が引責辞任した頃よりもかなり前だったらしい。

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