「仲の良さ」とはどんなもので測れるのだろう。外からみて仲が良くても、実は冷え切っていることもある。しかし、その認識が夫婦で違っていたら……。ライター・上條まゆみさんによる連載「子どものいる離婚」、今回は1年半前に夫が娘を連れて出ていき、離婚を言われている女性に話を伺った。

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憔悴しきった女性が…

都内のカフェで待ち合わせて、ランチをともにした西平美代さん(仮名・41歳)は、見るからに憔悴していた。1年半前、夫が当時6歳の娘を連れて家を出て行き、そのまま実家で暮らしている、自分は離婚を求められているというのだ。

「夫と娘が出て行ったその日は休日で、家族3人で私が作った冷やし中華を食べるなど、ごくふつうに過ごしていたんです。それが、些細な夫婦げんかをきっかけに、突然……」

以来、夫と娘は自宅に戻らず、娘の保育園は勝手に退園届が出され、住民票まで変えられた。美代さんは、広い自宅に取り残された。コロナ禍を理由に、美代さんは娘に会いに行くことすら拒まれており、娘とはwebで面会するだけ。辛くて食べものが喉を通らず、もともと細身ではあったが、体重が30キロ台にまで落ちてしまったという。
どうしてこのようなことになったのか、美代さんはまったく理解できていない。仲良く暮らしていたはずなのに、なぜ?

「こうしてお話をすることで事態を把握し、自分の気持ちを整理したいんです」

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大学生のときに一度目の結婚

美代さんは、実はすでにバツイチで、若い頃に結婚、離婚を経験している。

「大学生のとき、ひと回りも年上の男性に見初められて結婚したんです。お金持ちで、月の小遣いを生活費とは別に十数万円もくれる人でした。私はそのまま大学に通い、ふつうに就職もしました。とくに主婦らしいことはしなかったけれど、彼は、私と暮らせるだけでよかったみたいです。でも、彼の事業が失敗し、お酒に逃げるようになったことで関係が悪化。酒癖が悪く、酔うと暴力を振るうようになったので別れました」

鼻の骨が折れるほど殴られたことが、離婚の決め手となった。別れる際、慰謝料という名目ではないが、数百万円もらった。若い妻に対する、彼なりの贖罪だったのだろう。