【早すぎた予言者 南部陽一郎】「魔法使い」はノーベル賞を半世紀も待たされた

正しくても認められなかった独創性
大栗 博司 プロフィール

「正しかったが、時代を先取りしすぎた」

南部先生の先見性について、著名な理論物理学者であるブルーノ・ズミノ氏は「南部の仕事は10年先を見通している。そこで、南部の仕事を理解すれば他の研究者より10年先んじることができると思いがんばって勉強したのだが、やっと理解したと思ったら、すでに10年たっていた」と自嘲気味に語っています。

また、2004年に「強い力の漸近的自由性の発見」に対し、グロス、ウィルチェック、ポリツァーの3氏がノーベル物理学賞を受賞した際には、スウェーデン王立科学アカデミーが公式発表の中で「南部の理論は正しかったが、時代を先取りしすぎた」との異例の言及をしています。

南部先生は独創的なアイデアと長期的な展望によって前人未到の分野を開拓し、素粒子物理学の流れを変え、新しい基礎を築いてこられたのです。

【写真】2008年のN賞受賞時2008年、シカゴ大学でのノーベル物理学賞贈呈式にて。半世紀前の「予言」に、世界がようやく追いついた瞬間だった

早すぎた男 南部陽一郎物語——時代は彼に追いついたか

自発的対称性の破れ、質量の起源。日本が生んだ天才が素粒子論にもたらした巨大な功績を、成功と失敗が交錯する人生とともにたどる。

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