『鬼滅の刃』 テレビ放送の常識も変える、その「ウィンドウ戦略」

『鬼滅』はビジネスモデルの「改革者」
数土 直志 プロフィール

『鬼滅の刃』に見るウィンドウ戦略

劇場からテレビ放送、配信、さらに劇場版のテレビシリーズ化、ひとつの作品で何度でも美味しいのが、アニメ『鬼滅の刃』のビジネスである。テレビアニメ版「無限列車編」では、LiSAの新曲である新しいオープニングテーマ「明け星」、エンディングテーマ「白銀」がつけられる。これがまた大きなビジネスになるのは想像に難くない。

映画やテレビ番組のウィンドウ展開の重要性は、長らく言われてきた。たとえば映画では劇場公開からテレビ放送、DVDやブルーレイなどの映像ソフト販売を時間ずらしながら次々に見せていくのが常道とされた。

『鬼滅の刃』のテレビシリーズ放送と劇場アニメ公開をリレー式につないでいくやり方も、それ自体は新しいものでない。近年はしばしば見られる成功パターンだ。『弱虫ペダル』『僕のヒーローアカデミア』のようにシーズンに間を空けながら、放送の間を新作映画でつなぐことが増えている。

しかし、『鬼滅の刃』では、そこに新たなアイディア生まれている。

 

ひとつは配信だ。第1シーズンでは1社独占配信をせずに、作品が見られるプラットフォームを約20も用意した。深夜放送であっても、地上波キー局がなくても、配信を利用することで日本中にリーチできる。

さらに映画終了後の地上波テレビとの大型連動、ゴールデンタイムの進出は当初プランに入っていなかったはずだ。竈門炭治郎立志編、無限列車編、遊郭編をつなげてテレビ放送し、ファンの認知をさらに高める。配信時代になったとはいえ、一度に多くの視聴者が視聴し、大きな話題を作りだすテレビならではの機能は決して衰えていない。

時流の変化を逃さず捉えて、新旧のメディアを新しいかたちでつなげて成長につなげる。こうした当初から変わらない柔軟さ、新たな挑戦がアニメ『鬼滅の刃』ビジネスを大きくした理由のひとつだ。

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