『鬼滅の刃』 テレビ放送の常識も変える、その「ウィンドウ戦略」

『鬼滅』はビジネスモデルの「改革者」
数土 直志 プロフィール

『鬼滅の刃』一大ブームの軌跡

『鬼滅の刃』のアニメ展開は少し複雑なので、ここでこれまでの道筋を整理しつつ振り返ってみたい。

まずは原作がある。新人漫画家の吾峠呼世晴が「週刊少年ジャンプ」に連載を開始したのは2016年2月。アニメ第1シーズン放送が2019年であることを考えると連載開始からほどなく、アニメ化企画が浮上したことになる。さらにその連載は大ブームの真っただ中2020年5月に完結し、大団円を迎えた。潔よすぎるサプライズだ。

コミックスは全23巻、全体は「竈門炭治郎 立志編」(1巻 - 6巻)、「無限列車編」(7巻 - 8巻)、「遊郭編」(8巻 - 11巻)、「刀鍛冶の里編」(12巻 -15巻)、「無限城編」(16巻 - 23巻)の5つに分けられる。

最初のテレビシリーズ全26話が「竈門炭治郎 立志編」、これが一大ブームを巻き起こした。放送終了後に、書店からコミックスが姿を消したとのニュースは記憶に新しい。さらに2020年10月に公開されて大ヒットした劇場アニメ「無限列車編」はこの2番目のパートにあたる。

通常であればこの後は、遊郭編、刀鍛冶の里編、無限城編の3部を順番にテレビシリーズか劇場映画で続けて制作していくのが常道だ。

しかし第2シーズンの組み方は、大方の予想を裏切った。完全新作となる遊郭編が2021年12月放送開始と発表されると、多くのアニメ、放送関係者は首をひねった。テレビ番組は通常3ヵ月ごとに編成を組み、その始まりは1月、4月、7月、10月となるためだ。12月スタートはいかにも中途半端である。

この謎はほどなく解ける。10月にまずは、すでに劇場公開した「無限列車編」をテレビシリーズに再編集、新エピソード、新作カットも交えて新たに放送することが明らかになった。10月10日の放送はこの無限列車編の完全新作エピソードにあたった。人気キャラクターの煉獄杏寿郎が無限列車へと向かう道中の活躍を描く。このテレビアニメ版無限列車編が全7話、その後を受けて12月の遊郭編へとつながっていく。

【アニメ『鬼滅の刃』のウィンドウ展開】
・2019年3月29日
特別上映版『「鬼滅の刃」兄妹の絆』2週間限定劇場公開
・2019年4月~9月
テレビアニメ『「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』全26話 テレビ放送/動画配信
・2020年10月16日
劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』劇場公開
・2021年6月
劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』DVD、ブルーレイ発売
・2021年9月
テレビアニメ総集編『「鬼滅の刃」 竈門炭治郎 立志編』全5回放送

・2021年9月25日
劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』 テレビ放送
・2021年10月~11月

テレビアニメ『「鬼滅の刃」無限列車編』全7話 テレビ放送/動画配信
・2021年12月~
テレビアニメ『「鬼滅の刃」遊郭編』 テレビ放送/動画配信
 

第2シーズンから存在感を増したフジテレビ

今回の新作テレビシリーズの放送開始に先立ち、フジテレビは全国ネットで9月より週末ゴールデンタイムに「竈門炭治郎 立志編」総集編5本を放送している。

さらに9月25日には『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』を「土曜プレミアム」として夜21時からのゴールデンタイムでテレビ放送した。視聴率は21%、大成功だ。

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