劇場版『きのう何食べた?』が描いた、「家族」をつなぐ食卓の大事さ

実家と今の生活の板挟みに悩むことも…
(編注)この記事は劇場版『きのう何食べた?』の内容を一部含んでいます。

『モーニング』(講談社)の人気連載、『きのう何食べた?』(よしながふみ)が実写映画化され、11月3日から劇場公開されている。同作は2019年にテレビ東京系でテレビドラマ化された際、見逃し配信の再生数が全12話で100万回を超え、タイムシフト視聴率がドラマ24枠シリーズ平均で歴代最高を記録する大ヒットとなっていた。

©2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 ©よしながふみ/講談社
 

物語は、弁護士の筧史朗(西島秀俊)と、一緒に暮らす恋人で美容師の矢吹賢二(内野聖陽)の同性愛カップルを中心に、食卓を通してさまざまな人間模様を描く。将来不安から倹約に勤しむ史朗、ロマンチストで人当たりがいい賢二、自炊派が多い彼らの同僚や仲間たち、と登場人物それぞれが地に足の着いた生活ぶりで、共感を呼ぶことが人気の要因だろう。

映画では、シニアライフが視野に入った2人の実家とのかかわりを軸に、物語が展開する。そこで今回は、原作を含めて『きのう何食べた?』から見える、家族と食の密接なつながりについて考えてみたい。

時折挿入される「リアルなエピソード」

映画の冒頭、倹約家のためふだんは旅行などしない史朗が、賢二を京都旅行へ連れ出す。うれしいはずなのに、いつにない恋人の行動の裏には何があるのか、その思惑を悲観的に推察し疲れ果てる賢二。史朗は、両親が賢二を受け入れられないことを詫びたい、と考えていたことを打ち明ける。

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