ドイツ経済研究所代表のびっくり発言「経済の転換にインフレは不可欠」は本当か

ドイツ国民にとって憂鬱の種は多い

インフレは経済にとって好材料なのか

DIW(ドイツ経済研究所)はベルリンにあるドイツ最大の経済研究所だ。その前身の創立が1925年というから歴史は長い。現在は国と州が半々で出資しており、完全な公的機関だ。そしてこの研究所が、ドイツ政府のエネルギー政策や気候温暖化対策に多大な影響を与えている。

10月11日、大手紙ハンデルスブラット(経済に特化した新聞)に、そのDIWの代表、マルセル・フラッチャー氏の論文が載った。タイトルは「高いインフレーションは歓迎 かつ、ドイツ経済の転換にとって不可欠」。元来インフレを嫌うドイツとしては、かなり度肝を抜かれる内容だったので、本日はこれを紹介したい。

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論文は、「スタグレーション、つまり景気が悪い時のインフレの懸念がドイツで広まっている」と始まる。「いくつかの企業はすでに短縮操業を強いられている」。「その上、資源も高騰。特にエネルギーが9月のドイツのインフレ率を前年同月比で4%以上も上昇させた」。

ただ、氏によれば、ドイツの経済回復にとっての最大のリスクはインフレではないと言う。それどころか大幅なインフレは「ドイツ経済の転換には不可欠で、歓迎すべきもの」なのだ。それなのに現在、インフラを危険視するのみならず、さらに、その原因を気候政策のせいだとする、いわば“グリーン・インフレ”批判までが巻き起こっていると言う。

氏は、グリーン・インフレの存在を全面否定はしないものの、「このようなナラティブ」を紡ぎ出し、気候政策が貧困層の人々を苦しめていると思わせ、国民を惑わしている「いくつかのグループ」を非難する。ここでいうナラティブとは、その場の雰囲気が作り上げる物語というような意味だ。

氏の主張によれば、「気候政策が有害だという物語は、皮肉であり、誤りである」。その証拠に、ほとんどの人は温暖化を止めなければいけないと思っているではないか。

化石燃料を使っている人々や企業に高い価格を課したために起こる「ある程度のグリーン・インフレは正しく、かつ必要」なことで、これは一時的なことに過ぎないのだ。これこそが、「温暖化対策のメカニズム」が機能している証拠で、それに文句を言うのは本末転倒と言うのが、氏の考えだった。

 

さらに氏は問う。「CO2の価格が高くなったことによる物価の高騰は、それほどひどく、害のあることなのか」と。そしてその答えとして、「ドイツのインフレ率が、過去20年の平均1.4%でなく1.9%になったとしても、欧州中央銀行のインフレ目標が2.0から2.5%に上げられたのと同じく、問題はないはずだ」と言い切るのだ。

後述するが、現在、EUの欧州中央銀行では、インフレの上限2%というこれまでの規則が外されている。

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