危機的状況を救うヒーローの存在

私の場合、「他人の命」と「大事な人の命」を決して同列に扱うことはできない。自分の子供を救うなら火の中、水の中にも入っていけるし、それで子供の命が救えるなら喜んで自分の命をも犠牲にして助けるだろう。

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でも、火災や地震、突発的な事件や事故に遭遇した時に、赤の他人の為に自分の命を犠牲にすることはできないと思う。何より本音を言えばやっぱり怖い。死にたくない。怪我をして辛い思いをするのも嫌だ。赤の他人よりも自分が大事だ。それに自分が亡くなることで悲しむ家族がいる。そう考えると私は無我夢中で危機から逃れようとするだろう。

アムステルダム中央駅はオランダ鉄道や国際列車のタリス、地下鉄、トラム、バスといった様々な交通機関が乗り入れている。写真提供/歩りえこ

今回起きた京王線の事件でも、あの911のテロでも勇敢な人物が存在した。例えば、911ではサウスタワーに3度戻って、18人を救出した「赤いバンダナのヒーロー」と呼ばれた男性がいた。彼はビルの崩壊に巻き込まれて亡くなってしまったが、他の人を助けることなく逃げていれば助かったのかもしれない。

多くの人がパニックに陥った場合に、皆を誘導するようなリーダー的存在が現れたり、知識や身体的能力を活かして様々な方法で危機的状況から脱出しようと指揮を取ったりする人が現れる。

でも私には自分の生命を危機に晒してまで他人を助ける勇気や正義感は全くない。それでも、こういった事件が起きると私なりにできることはあると思っている

世界94ヵ国を旅するなかで、色々な国の防犯対策を見てきた。テロや内戦が起こったような国ではセキュリティ対策が万全で、私がテロリストや女スパイと勘違いされることもあり、手荷物検査だけでなくパソコンやスマホの中身まで見られたこともあった。

また、TGVの国際列車版「タリス」で無差別未遂テロ事件が起こり、フランスの駅や空港には機関銃を持った軍隊や警察官が警備しているという状況が続いており、物々しい雰囲気だ。アフリカでは観光客に銃を持った警備員がつくのが当たり前の国もある。治安が比較的良い日本のセキュリティは、そういった国々に比べるとかなりゆるいと感じることがある

クラシカルな馬車でアムステルダムの旧市街を巡ることができる。写真提供/歩りえこ